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2023.04.04 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ祭り

3年ぶりの小迫の延年は祭り日和で盛大に

さて本日は、2023年4月2日に宮城県栗原市金成白山神社にて斎行された小迫の延年です。
私が訪問したのは5年ぶりになります。

小迫祭りは別の名を「小迫の延年」(おばさまのえんねん)と呼ばれている国指定重要無形文化財の祭りです。
まずは、祭りの中心となる白山神社の由来について
「白山神社の創建は神亀元年(724年)と伝えられています。
また、征夷大将軍坂上田村麻呂が延暦19年(800年)東北の蝦夷を討伐に来た時、この地に陣を布いた。
その時、崇敬する加賀国石川郡にある白山白山姫神社に武運長久を祈り、東国の蝦夷を速やかに征伐する誓いを立てる鎮祭を行った。そして、大同2年(807年)に、その報賽としてここに白山社を建て、国家の安寧を祈誓したと伝えられています。
その後、今から約800年ほど前、鎌倉時代の文治二年(1189年)の7月、源頼朝が宿願の奥州平泉を滅ぼすために28万の大軍を率いて藤原泰衡を攻めた時にも、ここに陣を布いて白山神社に戦勝の祈誓を行い、平泉へと侵攻して行きました。
そして秋十月、藤原泰衡を計ち来って鎌倉へ帰還する時にも、再び白山宮に詣でて御札の報賽を行い、数日滞在して戦勝を讃える流鏑馬を催し、将兵を労ったと伝えられています。」
とあります。それ以来連綿と祭りが続いているわけです。
白山神社の例祭は、もとは旧暦三月三日で、勝大寺が中心となり、かつて一山衆徒であった成実坊、光実坊、光智坊、正円坊、法橋坊、論教坊、仲大坊、乗月坊、教実坊、堯真坊の十坊と、承仕を勤めた一戸の子孫が「坊中」と呼ばれ祭祀を司ってきたという。
祭り自体は前日祭として、金成の町を神輿が渡御し、その夜は別当の勝大寺本堂を御旅所としてお泊りになる。



勝大寺から白山神社まで神輿行列する御山詰めから始まり、続いて献膳となる。
献膳について祭礼行事「宮城」にこう書いてあります
「囃子を伴った烏帽子に白丁の行列が、三宝に神酒、餅、赤飯、魚、牛蒡、菜、菓子、果物をそれぞれ載せて捧げ持ち、白山神社、観音堂、歓喜天へ献膳される。列の者は口に椿の葉をくわえる。
観音堂と歓喜天へは魚が除かれる」
とあります。

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獅子舞についてです。
一山の邪気を払う悪魔払いの獅子舞です。笛、太鼓の御請楽に合わせて二人立ちの獅子と道化面をつけた獅子愛しが長床から出て舞いながら芝舞台に上がります。
獅子愛しは、右手に錫杖、左手に御幣束、獅子がくわえている長い白帯の端を持って捩りながら後ろ向きに獅子を誘って舞台へ上がって行きます。
芝舞台へ上がってひと舞した獅子は、ゴザの上に頭を西向き、尾を東にして寝そべってしまう。獅子愛しは御幣束を地面に突き立て獅子頭の前にあぐらをかいて大げさなしぐさでかしわ手を行つと、左腕を右手で支えて持ち上げて見せたりして、四方を拝みます。これは、男根をいきり立たせる仕草で、五穀豊穣を祈願するお呪いであろうと言われています。両手で藤の皮で作った数珠のようなものを揉むしぐさも見られます。

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延年の始まりを告げるこの演目は「御法楽付老女若女」とも「御法楽」ともいわれ、小迫の延年の開幕を宣言するものとなっています。

神男が土壇で巻物を広げて奏上します

「祭文 これあたる来る年号は平成27年4月5日、明日には豊坂に降り夕べには豊坂を降り、天には金の花開き、地には銀の茎立ち稔り、天地相合す。

実命の時、当山その間、宗徒の旧蹟俗士の諸衆今は一心清浄の誠を致し、・・・中略」

これは白山宮と十一面観音を讃える悪魔退散、五穀豊穣を祈願するものとなっています。

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奏上している傍で、長床から二頭の馬に乗った老女若女が舞台に近づいてきます。

この時、白髪の老女(元妻)と黒髪の若女(裏女)が馬に乗って現れ、鉄漿や白粉を塗り髪をつくろいなが神男を誘惑しようと持ちかまえます。そして神男が祭文を読み終えて下りて来ると、馬から下りて神男にまとわり付いて我が物にしようと争いますが、最後に神男に髪をはぎ取られて長床へ入ります。
この無言劇は、白山宮の御神体御影向の神事を伝える寸劇であるといわれます。
白山宮の御神体が白色の大龍となって、この地に降臨して美麗の童子になりますが、古くからこの辺に住んでいた白蛇と烏蛇が、この山を神にとられること嘆き、老女と若女に化身して障碍をなした。         ´
お怒りになった神霊は白蛇と烏蛇を神社の下の花田ヶ池と龍蔵ケ巻に閉じ込めてしまったということです。
この演目の刻限になると、二匹の大蛇の祟なのか、天候が急変して何かと不思議な事が起こりました。それで、神のお告げで髪長清水から浮き出た翁面を付けて演じたところ障りがなくなったということです。

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「赤と緑の対照的な僧形の「ちはや」という袖の長い薄衣を着け、八方という金襴の四角い布を冠にしてかぶった二人が、手に扇を持ち、薙刀持ちを従えて長床から出て芝舞台に上がります。

そして薙刀の刃を天に向けて、御請楽の笛の音に合わせて薙刀を交差させたり振り上げて体を回したりしながら平安朝にゆったりとした舞を舞います。

笛の音色が「田村が退治しよう」と聞こえることから「田村舞」「タルラ舞」「退治舞」「長刀舞」などと呼ばれています。
そこで今年の祭りでは初めてこの田村の歌を舞に合わせて歌いました。歌上げは90歳の老翁という。

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飛作舞は、入振舞から引き続き同じ二人の舞手が勤めます。

入振舞が終わると、舞手は長刀を扇に替えて、青陽歌(そうようか)の独唱に合わせて舞います。胡蝶が春の野を舞い遊ぶように舞うので「胡蝶舞」とも呼ばれています。
この舞は入振舞よりテンポが速く、動作も華やかに見えますが、歌には伴奏がありません。古謡風の歌い方でゆったりと唱う歌は、早春の境内や木々の梢に朗々と谺して平安の頃の雅な雰囲気を醸し出しています。

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田楽舞は、「馬上渡し」の後、演目の一番最後に勝大寺の檀家の村人たちが坊中の祭り衆に対するお返しに舞う踊りでしたが、的取りが激しくなって祭りが乱れ、観衆も四散して帰ってしまう人が多かったので、昭和50年から順序を変えて「田楽舞」を先に踊るようになった。
御礼と豊作祈願をこめて踊る「田楽舞」は、踊り手の白丁姿の村衆8人が胡桃の皮で編んだ花笠を被り、長床から出て踊りながら芝舞台へと上がって行きます。
8人の踊り手は、右手に御幣束を添えて花笠を持ち、左手で胡桃の白木で作った短い柄を持って笠を支え、御請楽に合わせて両足を揃えて左右に踏み出すように踊ります。

順回りに三回芝舞台を巡ると踊り手は勢い良く花笠を投げます。
観衆は三度巡るのを待ちかねたように、どっと花笠に群がって、笠や吹き花を争って奪い合いますが、たちまち決着が付きます。
遠い昔から作り花は、お呪いの品として珍重されましたが、ここでも花笠や吹き花を手にした者は、豊作や火除のお守りの護符として軒先などに大事に飾ります。

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最後に馬上渡しです。
源頼朝以下の武将が馬に乗ったまま境内に陣を構えるが如く整列して扇の的の場面を演じる。
境内では杉の木に大きな扇の的が立てかけられ、その中央に平家の印である赤旗が掛けられ、反対側の白山神社の鳥居には源氏の印である白旗が掛けられている。
つまり、この境内で源平合戦のクライマックスである屋島の戦いにおける那須与一の扇の的射ちを再現しようとするものです。

馬の轡を並べて言上が始まります。

源 頼朝
 「さん候」

畠山重忠
 「あれあれごらん候へ、沖の平家よりみな紅の扇を出され候ば、あれは源氏に射よとの計にて候、誰にか仰せつけられ射させるべく候」

千葉介常胤
 「人多しとは申せども、那須与一宗高こそは丈は小兵に候えども、かけ鳥など仕るに三つに二つは留むる仁にて候、かの仁に仰せ付け射させるべく候」

和田小太郎義盛
 「いかに与一承るか、君よりの御諚にはあの扇を一矢射て国々の諸大名に見物させよとの仰せにて候」

那須与一宗高
 「仰せはさように候へども、波の上のこと、いかでかは仕るべく候」

後藤兵衛実元
 「御諚背くべきに候はば、とくとく、鎌倉へかえられるべく候」

那須与一宗高
 「御諚背く候間、一矢仕るべく候」、「南無正八幡大菩薩、別しては那須の弓神大明神、然るべしをも候はば、あの扇一矢射させ給はるべく候」

と弓に矢をつがえて的を射落とす。

古来扇の的を手に入れた部落は、その年は豊作であるといわれ、又、この的を祀っておくと火災予防にもなるということで、必死に的の奪いあいがおこなわれて来ました。
正に春先の農作を占う大事な祭りであったということです。

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2023.04.04 |

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