皿貝法印神楽「空所」@2022第43回石巻地方神楽大会
さて本日からは、2022年9月4日に女川町生涯学習センターを会場に開催されました第43回石巻地方神楽大会のリポートとなります。
この神楽大会は、石巻地方旧市町の持ち回り会場で開催されるもので、この地方の法印神楽を一同に集めて鑑賞できる貴重な機会となっています。
今年の大会出場は、法印神楽8団体でした。
コロナ禍により2019年以来の3年ぶり開催とあって、真新しい女川町生涯学習センターホールには大勢の神楽ファンが集いました。
そのうちからトップバッターは
その前に、皿貝法印神楽さんの由来について宮城県の民俗芸能1より
「この神楽の由緒によると元和2(1616)年8月、皿貝の修験成就院(本山派)9代久峰重光が京都聖謹院宮入峰の砌り、能を修得し古事記を基として神楽を編み出したものと伝えているが、これは明らかに誰かが権威づけに由来譚を作ったものである。皿貝の法印神楽が何時どこから伝承したものかは不明であるが、桃生十法印のうちに皿貝の中島に良泉院があり、そことの関係があったかも知れない。明治以降に一時廃れかけたが、姫舞を樫崎の榊田法印から、荒舞を橋浦の女川村高橋法印から習得したともいわれる。現在の舞型を見ると桃生神楽系と思料される。神楽本は写本であるが、古い修験文書は現大日孁神社にて所蔵している。
古面が25面、新作とみられるもの6面がある。
皿貝組から他に相伝した神楽組は河北町福地と河南町鹿又といっている。皿貝の伝承者は12人、うち青年は3人であるが全体的に壮年層である。古老からも伝習をしている。現在直ちに演舞できるもの15演目である。
「白露」は陰陽どちらかの舞人に障りあるといって忌み、「荒神」も忌曲としている。
舞台の特色として舞台後方に一段高く楽座を設けている。もとは2尺ほども高くしていたというが、現在でも5寸以上は段を付けていて広さは半間に2間である。本山派であるので胴1つに笛が2管を基準としている。舞台の組材は総桧としている。次の神社祭礼を主として他の招請にも応じている。
旧6 月1 5 日夜 皿貝 大日孁神社
9 月9 日 北上町本地 鹿島神社
旧9月25日 河北町馬鞍 天神社」
とのことです。現保存会表は佐藤正美さんです。
この日のプログラムでは五矢の予定でしたが、都合により空所になりました。
法印神楽の上演会などでもあまり演じれることがなく、非常に珍しい神楽通が好む地舞を中心とした演目です。
空所は空照とも称して、天神化生で天と地が初めて分かれた時に高天原に出現した天之御中主神の舞とされている。
尚、同様の地舞の曲「普照」は地神化生で国之常立神の舞としている。
序盤はネリ舞にて巻鉾などの扇使いの緩やかな所作が美しい。
神議は現在は無しとしているが、気仙沼神楽本には次の記述がある
「片そきの 千木の内外にかわれとも
誓いは同じ 伊勢の神垣
神風や 山田の原の見しめ縄
なかきをかけて すめる水かき
天地に 二つ御玉のあらわれて
人をたすくる 誓いたのもし
八重垣や 山田の原の 榊葉に
心の注連を 掛けぬ日ぞ無き
橘の 小戸の祓除を始めにて
今も清むる 吾身なりけり」
佳境に入ると二本の太刀を使っての「二環刀」が入る。
二環刀とは、「四方にて両刀を巻振事、たまきの如くす、よって二鐶たまき刀といふ」ということのようです。
尚、二環刀拍子諷の一節は次の如し
「波立った波立った 折懸けて波立った
荒磯の波の 打つが如く罪咎を
祓い除け断ち除け いさ清く成玉へ」
動画でどうぞ
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