小田代神楽「権現舞」@2021第46回胆江神楽大会
さて本日は、2021年10月31日に行なわれた第46回胆江神楽大会から小田代神楽で権現舞です。
改めて、小田代神楽さんの由来について定本より。
「明治二八年一○月、部落の氏神五十瀬神社に神楽を奉納するため、氏子総代の植田喜作が庭元となり、羽田の鴬沢神楽から師匠を招き指導を受け、小田代神楽を創設した。
初代庭元植田喜作、二代及川春治、三代及川清志四郎、四代~五代及川篤男である。」
とあります。初代の植田喜作が指導を受けたのは菅原金之丞とあるが、金之丞は千葉栄佐衛門とともに瀬台野神楽を立ち上げた人物であり、後年田原の蟹沢に婿入りして蟹沢神楽を創設し、周辺の地域にも神楽指導をした。
そして現在の第六代目庭元は及川章さんです。
.権現様を舞わせる二人の舞手が登場する訳ですが、山伏神楽の権現舞と同様です。
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が、やはり特徴的なのは権現舞の前半部分は、岩手県南部の胆沢地方から宮城県北地方に広く分布する獅子舞の様式をとっていることです。つまり、獅子を神の権現としているというよりも、太刀切り(獅子あやし)によって祓われる聖獣としての獅子として扱っていることです、なので最初に獅子あやしが刀でもって獅子を祓う所作があります。
そして、次に獅子あやしが山伏神楽の権現舞につきものの別当役に変わって酒や米等を獅子に振り掛け祓う所作になります。
小田代神楽さんが伝授を受けた北下幅神楽や瀬台野神楽にはもちろん権現舞は無いものの、同じ集落内には正月の春祈祷をする獅子舞がありました。それは天狗を先頭に刀振りと獅子舞が悪魔祓いをし、祈祷札を配るために門付けをして歩くものでした。
その一方で小田代集落の周りは南部藩境にあるため、山伏神楽から派生した権現舞だけを伝承する地区が沢山ありました。
小田代神楽さんでも集落内の寺に頼まれて権現様を回すようになり、現在では5月の江刺甚句まつりの際に秋葉神社の要請で岩谷堂地区を門付けすることになった。
このような関係から、山伏神楽由来の権現舞と羽黒修験の獅子舞とが混然となった権現舞が成立したのだと推察します。
最後は舞台下に降りて観客の皆さんの頭齧り、身固めをして回りました。
最後は神送りの唱詞の奏上です。
「登保加美恵美多美次良震選離押兌乾祓披給清米給・・・畏美畏美母白須」と唱えます。
以上で第46回胆江神楽大会のリポートを終わりますが、今年の大会は緊急事態宣言が出される中でやむなく延期となりましたが、ともかく開催できて安堵した訳ではあります。
今の所収束とはいかないものの、落ち着いた状況ですが、依然として様々な芸能上演の場が失われています。
継承が途切れないように、来年は晴れて盛大に開催されることを祈念します。
動画でどうぞ
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