春を呼ぶ横手市黒川の梵天奉納
さて本日は、一昨日の4月1日に行われた秋田県横手市黒川百万刈に鎮座する若宮権現社での梵天奉納です。
秋田県内には高さ5m程の棒の先に依代となる梵天飾りを付け、それを担いで集落の鎮守社に奉納する行事が偏在します。
正月から春先に行われるため、五穀豊穣の祈願とともに村内の無病息災、悪霊退散の祈願も込められています。
また、各集落から神社社殿目掛けて先を競って奉納しようとするため喧嘩奉納の様相もあり、これが血気盛んな若衆の意気込みをみせる場ともなっていて大層な盛り上がりを見せる祭りでもあります。
中でも有名なのは秋田市の三吉神社の梵天祭や横手市の旭岡山神社の梵天奉納でしょうか。
しかしながら、他にも大曲の川を渡る梵天や、平鹿町の沼入り梵天など多種多彩なのも梵天祭りの魅力です。
横手地方の梵天祭りをまとめたサイトがありますのでご参考に ⇒横手市各地の梵天紹介
さて、若宮権現社に梵天が集合するのが12:30ごろと聞いたので現地に着くと早速軽トラックに積まれた梵天が到着。
周りは4月1日だというのに田んぼに雪がたっぷり。今年の雪の多さを物語っています。
神社の境内にも雪が残っていました。
祭りに集まって来た人たちへのおもてなしとして、酒や玉こんにゃく、スルメ等が振る舞われます。
この若宮権現社は社伝によれば天平元年の棟札があるということです。祭神は宇賀玉大神ということです。
ここで奉納される梵天は、下和野・百万刈集落の子ども梵天と
百万刈落合青年会百盛会の梵天です。
法螺貝を吹きながらジョヤサジョヤサの梵天唄が聞こえてくると祭りの気分が盛り上がってきます。
奉納の前に鳥居前で記念撮影
恵比寿俵の中には餅まき用の餅が入っているそうです。
梵天奉納が始まったのは13:00ごろ
梵天奉納には、梵天を堂内に押し込もうとする側と、それを押し返そうとする側の争いが伴います。
これは作占の意味合いや、五穀豊穣の予祝、そして子孫繁栄の祈願が込められています。
ここ若宮権現社は安産の神様として崇敬が篤いともあります。
さて、鳥居前で軽くもんだあとで、社殿で激しく押し合います。
子ども梵天から
次に青年会梵天ですがこちらは気合たっぷりでした。
梵天奉納が無事終わると恵比寿俵に入った餅まきが始まります。
ここで特徴的だったのは、餅と共に俵の藁が撒かれたことです。
ここにも豊年満作を祈っての餅まきという意味合いが見て取れます。
他にお菓子やジェンコ(銭コ)も撒かれます。
集落の老若男女が競って拾い、なかにはスーパーの袋3つぐらい拾って凱旋するおばあちゃんもいたりして、和気藹々とした祭りでした。
30分ぐらいで終わる小さなお祭りですが、集落の紐帯が色濃く残り、昔からの風習を窶すこと無く続けていることが何より感心させられます。
まさに秋田ならではの早春の民俗行事でした。
動画でどうぞ。
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