薬莱神社三輪流神楽 「除魔・胡蝶・愛子」
さて本日は、薬莱神社三輪流神楽の篝火神楽から「除魔・胡蝶・愛子」です。獅子舞です。
薬莱神社三輪流神楽の獅子舞については、2014年11月に訪問した際の当ブログでも書きましたが、演目が三段の構成になっています。
最初の除魔について「三輪流両部習合神楽秘伝鉦」(同保存会伝承)にこうある。
「除魔は獅子舞なり、獅子は百獣の長にして一声吼ときは威勢振り立ち百獣慄し衆魔の脳裂す。よりて除魔と名づく。」
つまり、人間を悩ます諸々の災厄をも獅子の咆哮によって撃退消滅させるという信仰の現れです。
その一方で、次の胡蝶では、獅子がのんびりと胡蝶と戯れる場面が演じられ、百獣の王であるにも関わらず、親しい野生の獣の性格をも表現しています。
とはいえ、胡蝶(扇)を呑み込む所作が最後にあり、この辺が宗教的な意味が込めれれている感じはします。
ところで、この獅子が胡蝶と戯れる所作は、今年2月に当ブログで紹介した岩手県一関市に伝承される善楽流獅子舞にも同型があることを確認していますので、ここを初元として伝播したことが推量されます。
そして、最後にこの獅子舞の最重要な部分である愛子です。
獅子に対して、これを諌める役として獅子あやしが出ます。これについても「三輪流両部習合神楽秘伝鉦」から引用します。
「獅子愛子なり、山祇の神、仮に樵父と現し獅子を愛したまふという。西国は獅子常に文殊菩薩獅子に騎て駕馭すというなり。」
大崎八幡神楽での獅子舞では、男の子が獅子あやし役となり、獅子と戯れるといった感がありましたが、こちらは獅子を鎮める意味合いが強い感じがします。これは金成の白山神社で行われる小迫の延年の獅子舞(ちゃれこ舞)に近いものがあり、双方ともどちらが先かは今となっては推し量るしかないのですが、影響し合った可能性もありそうです。
動画でどうぞ。
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