上平沢権現舞 春彼岸の悪魔祓い
さて本日は、昨日までの善楽流獅子舞に続いて金ケ崎町の春彼岸の悪魔祓い、獅子つながりです。
とはいうものの、金ケ崎町は旧南部藩と伊達藩の境界にあるため北からきた権現舞と、南からきた獅子舞が混沌とした地域でもあります。
この辺の詳細は「金ケ崎の権現様」(昭和63年刊行)に獅子頭の図録を掲載して比較検討がなされている。
これらの「アグマハレェ(悪魔払い)」は、かつては町内の各集落ごとに行われていて、昭和63年の調査時点においても14地区での活動を確認している。
その行われる時期は、小正月と春彼岸の時期を中心としていて、1~2日かけて門付けした。
その形態は大麻、ほら貝、獅子舞、札持ち、太鼓、笛などが行列して家々を廻り、玄関から土間に入り込んで舞ったということです。
獅子自体も、山伏神楽由来の権現舞もあれば、一方では太刀使いがつく羽黒修験由来の獅子舞もあったようです。
この上平沢権現舞は、太刀使いが付く羽黒修験由来のもののようです。
発祥は不明としながらも、かなり昔から行われていたという。
しかし、昭和の後半で一度衰退した。
平成21年に、千貫石から習い直して復活したのが現在の形ですが、以前の芸態とは少し違っていると代表の方が言っておられました。
「昔は旧正月10日に朝から3時頃まで廻った。熊野神社の宮司が白い馬に乗って巡行していたと記憶している者もいるそうだ。
家に上がる時は土足だったので、家の人たちは予めむしろを敷いていたが、舞手はあえて筵でないところを歩いたりしたものだ」
等と語ってくれた。
昔は熊野神社に奉仕する講中だったが、復活後は保存会としての運営となり、従来の住民の他にサンライズという新興住宅地からも参加者を募ったことにより若手が増えて活気が出てきたということです。
支度をする上平沢公民館を9時頃に出発すると、隣接する熊野神社境内にて奉納です。
この熊野神社には獅子頭と太鼓等を保管しているそうです。
その後、民家での悪魔払いへと移動します。
農家の庭に入り込むと、輪になって一巡りしてから獅子と太刀使いが対面しながら悪魔払いをします。
荒ぶる獅子を修験者が刀で祓って聖獣となった後、権現様が悪魔を祓います。
金ケ崎町の獅子舞では、山伏神楽の権現舞の影響もあるのか、火伏せの祈祷も込められています。
権現様が咥えた柄杓の水を家の屋根に掛けて火伏せ祈願です。
最後は頭齧りです。「カサッコ(瘡蓋)」ができないご利益があるという。
11時近くなって、私は退散したわけですが、この日はもう一つ別の行事が同じ集落で行われていていました。
それは明日のブログでお伝えします。
動画でどうぞ。
場所はここです
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