一関市舞川の善楽流獅子舞巡行記 追補
昨日に続き善楽流獅子舞について、今日は演目にふれてみます。
善楽流獅子舞の演目は、隆盛時には12種類あったが神社の火災とともに焼失して、現在は口伝で継承している8種類ということです。
・腕(かいな)差し
・脇払い
・三の足
・六の足
・錫杖神楽
・扇神楽
・柱隠し
・世の波
また、この他に親子獅子という演目を持っている。
この親子獅子は宮城県では塩釜神楽等の十二座神楽にしかなく、岩手県内では皆無(個人的知見ですが)と思われます。会長さんが演目復活を目指しているとのことで、実現したら連絡くださいとお願いしました。
<画像は塩釜神楽の親子獅子>2016.7.18
また、錫杖神楽と扇神楽については、三の足、六の足とともに所作からついた名称と思われますが、神楽の演目を想起させます。
<画像は狐禅寺獅子舞の錫杖神楽>2012.3.5
ところでこの扇舞は、獅子が幕の外の扇を持って、獅子頭がそれをもて遊ぶかのような所作をします。
これは、宮城県加美郡加美町の三輪流薬莱神社神楽に伝わる胡蝶舞に相似しています。
<画像は狐禅寺獅子舞の扇神楽>2012.3.5
薬莱神社神楽は陸前浜の法印神楽と同系で、異伝の法印神楽と云われています。
薬莱神社は創建時には薬莱三所権現と称し、別当は羽黒修験の善行院だったというのですから、やはり基は同じだったといえるかもしれません。
<画像は薬莱神社神楽の胡蝶舞>2014.11.23
それから、「世の波(よのは)」という演目は、猪岡獅子舞では「猿かんなん」と称しているもので、猿が獅子にいたずらをするというものです。
善楽流獅子舞の世の波では、猿コが獅子の邪魔をして倒してしまう。
そこへ翁(代表は是翁と呼んでいた)が現れて御神楽を舞い、言い立てになるという。
黒面、赤面、白面の翁が獅子を祓うと獅子が起き出して一舞して終わるというものです。
参考までに薬莱神社神楽の動画をどうぞ。
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