小田代神楽 権現舞@ 第10回祀りの賑わい
さて本日は、第10回祀りの賑わいから、小田代神楽さんで権現舞です。
小田代神楽さんは、神楽のカテゴリでは一応南部神楽の範疇にあるので、権現舞は無いはずですがあるんです。
しかも、山伏神楽の権現舞とも様式を異にしています。
実はここに南部神楽と権現舞・獅子舞の関係のヒントがありそうなのです。
小田代神楽さんの源流である瀬台野神楽には権現舞はありませんが、正月春祈祷の悪魔祓い獅子舞があります。
これは、春祈祷と称して、天狗面を付けた太刀祓いと獅子頭を奉じた二人が集落を戸毎に訪れて悪魔を祓う祈祷をして歩くものです。由来は不明であるが羽黒修験系統の獅子巡行のものと思われます。
この芸態は旧伊達藩の中でも一関市や奥州市南部に今も伝承が残っている形式です。
荒々しい野獣の獅子を修験(神)が神通力によって鎮めて、その後に獅子は聖獣に变化して衆生を救済するという信仰です。
そして、小田代神楽での権現舞は早池峰神楽系統の下舞になっていて、この辺が伊達南部領界の狭間で様々な変化があるという証左です。
次に、権現様を舞わせる二人の舞手が登場する訳ですが、こちらはほとんど山伏神楽の権現舞と同様です。
そして、次に獅子あやしが山伏神楽の権現舞につきものの別当役に変わって酒や米等を獅子に振り掛け祓う所作になります。
小田代神楽さんが伝授を受けた北下幅神楽や瀬台野神楽にはもちろん権現舞は無いものの、同じ集落内には正月の春祈祷をする獅子舞がありました。それは天狗を先頭に刀振りと獅子舞が悪魔祓いをし、祈祷札を配るために門付けをして歩くものでした。
その一方で小田代集落の周りは南部藩境にあるため、山伏神楽から派生した権現舞だけを伝承する地区が沢山ありました。
小田代神楽さんでも集落内の寺に頼まれて権現様を回すようになり、現在では5月の江刺甚句まつりの際に秋葉神社の要請で岩谷堂地区を門付けすることになった。
このような関係から、山伏神楽由来の権現舞と羽黒修験の獅子舞とが混然となった権現舞が成立したのだと推察します。
動画でどうぞ。
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