2017.02.05 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ神楽

宝領神楽 「御山掛け」@ 第37回尾松地区神楽鑑賞会

さて、本日は宮城県栗原市栗駒健康の里さんさんドリームで開催されました第37回尾松地区神楽鑑賞会に行って参りましたので、そのリポートといきます。

例年のことながら、南部神楽の新年最初のイベントとして定着して沢山の観客の皆さんが集う鑑賞会となっています。その中にあっても開催に携わる方々のご苦労はいかばかりかと推察し、敬服と感謝で一杯です、微力ながら応援していきたいと思います。

さて、冒頭はいつものように雄鋭神社獅子舞の友情出演があり、会場を祓い清めた後、いよいよ神楽の開始です。

トップバッターは宝領神楽さんによります「御山掛け」です。


宝領神楽さんの由来については定本より

「昭和五二年、菅原俊男が庭元となり片子沢神楽の佐藤徳衛、高橋兵治両師匠を招き、部落の若者たちに神楽の指導を行い、宝領神楽を創設し今日に至る。現在の代表は菅原俊男である。」
とあります。黒沢系神楽ということです。

(この日の胴取さんは栗原神楽からのピンチヒッターです)



さて、演目のお山掛けとはいわゆる山伏神楽の祈祷舞の範疇に入るものだと思います。

当日パンフレットにはこうあります

「秋祭りや新築祝い等の際に神社や神棚の御宮様に対して、神楽師が神(本日は月夜見命)になり、御宮に対し「悪病退散」「五穀豊穣」「家内安全」「商売繁盛」「福徳円満」等諸々の願掛けを行う神楽です。」

IMG_1028.jpg

この御山掛けという祈祷舞は、宝領神楽の他に城生野神楽はじめ黒沢神楽の系統に伝承されている感じです。

もともとお山掛けというのは、修験山伏が修行を行うために山々峰々を渡渉し、それぞれの神域霊場で真言や経を唱えて祈祷しつつ修行したものです。

それが時代を降るにつれて庶民の間でもお山を廻りながら諸願成就を祈願する行事が敷衍しました。喩えて言えば気仙沼市の羽田神社のお山がけです。

そうした信仰を受けて南部神楽でも寺社から頼まれての神楽奉納、勧進元の農家での等にこの御山掛けが出されたものと推察されます。いづれ貴重な演目です。

今回改めてその貴重性に注目しましたので、この演目の全科白を筆耕しておきたいと思います。


IMG_1032_2017020518134985f.jpg

宝領神楽さんではこの祈祷をするのは月読尊となっています。これが何故月読尊なのかは不明ですが、他の神楽団体がお山掛けをする際にも月読尊であることが多いようです。
これは思うに、天照皇大神の命を受けて五穀の種を捜しに派遣された弟神の月読尊が農耕の守護神として捉えられている証左ではないかと思います。

この御山掛けでの科白でも

「第一の願わくは、今年の家内安全、福徳なんと願うなり
 第二のご当地の悪病退散、五穀豊穣を祈るなり
 第三番に願わくは、今年の子孫繁栄、商売繁盛を祈るなり」

とあり、ご当地安穏、諸願成就を祈祷するものである。

これは、岩手県の山伏神楽である早池峰神楽や黒森神楽での巡行において、巡業先の予祝を約する儀礼舞に通ずるものである。

南部神楽においては各村巡行の際に神札を配布したかどうかはそれぞれの地域で異なるものの、この御山掛けのように神楽師が神仏に代わって祈祷したことの証拠としてこの御山掛けという演目は大変重要な意味を持つ。

IMG_1034.jpg

動画でどうぞ。

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2017.02.05 |

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