本郷神楽 山之神舞 @本郷神楽百周年記念公演
さて、本日は本郷神楽さんの山之神舞についてです。
山之神は山伏神楽の神舞では最も大切にされている最高の祈祷舞であり、法印神楽でも魔王という演目でやはり強大な力を持つ神の舞とされています。
本郷神楽でも他の神舞と異なって勇壮独特の舞であり、上演時間も一番長く、神舞の神髄を現す演目とされています。
さて、この日の上演では、この山之神舞から胴取りが変わります。
御年87歳の畠山春男さんです。この日は気温が36度を超える灼熱のような舞台でしたが、皆の心配をよそに、矍鑠たる神歌と撥さばきを見せてくれました。
16歳から神楽を始めたという畠山さん「神楽は何よりの娯楽で、親から反対されながら見よう見まねで覚えた。100周年は言葉にならない嬉しさ。(岩手日報記事より)」ということですが、実に気魄のこもった胴を聞かせてくれました。
さて、山之神舞です。
舞手は和田正一さん。
幕だしは
〽 サンヤー 山之神はよー 山之神はさー サンヤー
鳥兜に青のサンヤ面をつけ、折敷に米、刀、扇、鉾を載せたものを押し頂きながら舞い出ます。
そして、他の神舞ではつけていなかった九字(手ジメ)を付けて舞うのは、山伏神楽と同じ作法と言えます。
胴取りの歌が サンヤー よねを取れやー になると舞手は折敷をもって米を撒きます
その後、紙縒りで作った数珠様の物を折敷に載せた米の上から取り、両手で振りながら舞いますが、これは大乗神楽における数珠の扱いにも等しく、また、岩手山以北の山伏神楽の襷の扱いにも似ています。
そして、山之神が自らの本地を言立てます。
〽 サラサラと降らせ給う権者 色良き飾り 高麗のセンヤコンヤ
あやにまします 山之神の本地を詳しく説き奉るによって
これ山之神の父親をば大山祇之神と申すなり 母をば大山祇尊と申すなり
みさいとなりて持たせ給う御子 これより北にあたり山之神さんさ 大神とたておわします
今年今月今日この所に現れ給うによって
一年にひとたび二年にふたたび巡るべきにはあらずして
千本の人にも喜ばれ 万本の木萱にも喜ばれ
いな三千三条のためとて もう一舞舞いて楽しみ申さんや
鳥兜を取り、面を外してのくずし舞となります
胴歌に 「ロクサンノース」がかかると、六三の足の足次となります。この辺も祈祷舞の型をよく残しているといえます。
続いて太刀舞になります。
二本の刀を採って勇壮に舞いますが、特にも二本を逆太刀にしての舞型は、山伏神楽の古い型をも想起させます。
最後は折敷に採物、面、鉢巻等を載せて幕入りするが、法印神楽の様にも似たりという感じです。
舞手の和田さんも66歳ということですが、、炎天下の下、見事な山之神舞でした。
すごいの一言です。
動画でどうぞ。
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