福地法印神楽「産屋」@2023第46回石巻地方神楽大会
さて本日は、2023年9月3日に行なわれた第46回石巻地方神楽大会から福地法印神楽で産屋です。
福地法印神楽の由来について
「昭和8年の旧正月元日を期して桃生町倉埣八雲神社の及川宮司の一番弟子と称された西條二三盛氏から直伝を受け、初めて神楽団を組んだものという。
現在でも胴も笛も自前で楽人を持ち、笛は3人が吹奏できるという。会員は7人に減少しているが後継者を養成しつつある。
一時針岡の組と合流していたが針岡は中断しているので他は頼らず、むしろ後谷地の方などに奏楽の指導や応援に行っている。毎年9月9日の加茂小鋭神社の前夜祭の他各地の祭礼等に演舞している。」
ということです。現在の代表者は斎藤忠直さんです。
福地は、河北町から雄勝町に行く県道30号線の町並みです。
演目の産屋は彦火火出見尊が豊玉姫と契りをかわし、その出産に際して産屋を覗いてはならぬと約束したことに始まります。
豊玉姫は自らの出産を秘するため一人産屋へと籠もります。
おのれが子の出産が気になり産屋を覗いた彦火火出見尊は産気づいてのたうちまわる龍の姿を見て仰天します。
無事に出産するも、夫である彦火火出見尊に真の姿を見られたため、子を側女に託そうとします。
この産屋という演目は夜神楽で演じられることが多く、ことにこの豊玉姫が幼子を引き渡す場面では姫が親心から子を離し難くいろいろするので、神楽見物の観衆からは「渡すなよー」とか「子供離してわがねー」とか声援がかかります。
こいった機微も地域に息づく神楽の本質といえます。
我が子を失った悲しみと、禁忌を破った夫である彦火火出見尊への恨みで本来の姿へと変化する。
竜神に化身した姫が彦火火出見尊と神争いをし、彦火火出見尊が勝利します。
法印神楽の産屋は、夫婦和合の舞であるということだが、子を捨てざるをえなかった豊玉姫の怨念を山伏の法力で折伏する示現の舞であると思う。
後に残った彦火火出見尊が、禍を祓った喜びとして太刀御神楽を舞います。
動画でどうぞ
