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2023.09.07 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ神楽

樫崎法印神楽「打ち鳴らし・道祖」@2023第44回石巻地方神楽大会

さて本日からは、2023年9月3日に石巻市河南町の遊楽館かなんホールで行なわれた第44回石巻地方神楽大会のリポートとなります。
この神楽大会は石巻市内の神楽を旧市町村持ち回りで開催してきたもので、昨年度は女川町でした。
開場は9時でしたが、8時半に着いた時には既に入場待ちの行列ができていました。熱心な神楽ファンが多いのも石巻市ならでは。

といことで、開会式に続いて神楽の場に神様を招く打ち鳴らしから。
担当は旧桃生町の樫崎法印神楽です。

その前に、樫崎法印神楽の由来について宮城県の民俗芸能1より

「桃生郡十法印の一つとして古くからの修験院龍性院(榊門家)を中心として宝暦年間(1751~1759)から「倭舞神和流神楽」と称する神楽、すなわち現在行われている法印神楽が伝承されてきたという。
天保6(1835)年生まれの榊田員技法印は神楽の修練に熱意を持ち、気仙沼や本吉郡南部(戸倉)方面に出向き、一層の習得を重ねてきたといわれる。現在、記録として残るだけでも明治26年以降、10数回にわたり入門者を許し、桃生町、河北町、河南町方面の神楽組に稽古をつけ、榊田家から指導を受けた者は約100人を超えている。同家には大正12年10月、地域の人たちや牡鹿の各浜、現河北町大谷地、皿貝の人たちから提出された「御神楽入学證」「請願書」「神楽稽古入門書」などと頭書された連名の誓約書、新しくは昭和40年12月の入門書なども現存している。大正8年8月には桃生町太田の拾貫神楽と合流している。
樫崎法印神楽団には古くから名人上手の神楽人が多く輩出した。特に榊田家15代の員技師は姫舞の名手として名を馳せた。「産屋」では六枚扉風を飛び越えて蛇体と化した豊玉姫を演じた演技など、今でも古老たちの語り草となっている。
18代故末宝師(前会長)の胴は至芸とされよう。特に太鼓の間の微妙な呼吸、強弱自在の撥の打ち分け、神歌の声の色、掛声の奇声等は今でも耳に残って忘れられない。神楽が長時間に演じられるときは中入り(中休み)が入ったもので、演舞する人たちばかりではなく、観客も一息付くが、舞台がだれる。その折は芸達者たちの神楽人の腕の見せ所であった。
万才、唄剣舞、囃子舞、当時の流行歌などが即興風に舞台に繰り広げられたものだ。末宝師などは何んでも御座れだったが特に「ちよぽくれ」や「でろれん祭文」が得意だった。こうした古謡はもう演る人はいない。昭和58.59年度に行われた宮城県民謡緊急調査に録音したテープに収録されている。
樫崎組は最近後継者難とも聞いているので、地域の青壮年の人たちの育成が急務である。現在つぎの神社祭礼のほか、各地からの招請を受け演舞を行っている。
9月10日桃生町高須賀白髭神社
9月19日桃生町太田拾貫日高見神社
1 0 月1 3 日河北町古野飯野山神社
9 月9 日桃生町樫崎鹿島神社」

とあります。現在の神楽保存会長は榊田三男さんです。

 先代の師匠の時代まで、神楽の合間にちょぼくれやでろれん祭文が披露されたとは驚きである、宮城県民謡緊急調査をそれこそ緊急に探査せねばなるまい。


といったところで打ち鳴らしですが、舞台前には三宝に面、千早、帯、鉾(幣束)などが載せられて、舞台清めの儀礼といったところです。



演目の最初は道祖。
これは法印神楽の式舞の初演目であり、昼神楽では初矢、夜神楽では道祖となっております。

夜神楽の最初に舞われる舞曲で、神の道を記す猿田彦の舞と言われ、地舞の中でも最高の舞とされています。

20230903095401IMG_7855.jpg

物語としては山伏神楽の天降りと同様に、天孫瓊々杵尊が高天原から高千穂の峯に降り立ったときに、道をふさぐ者がいたので、天宇受賣命が汝は何者かと問うたところ、我は天の猿田彦と申して天の御孫を導くようにと指示されたがためお待ち申しておりましたと答えた岐の神の話であります。

20230903100648IMG_7859.jpg

ことに舞の中で外縛印や内縛印など多くの印を結びながら祈祷することに特徴がある。

20230903101135IMG_7864.jpg

中程で米を盛った三宝を掲げて神諷になります。

「欽上再拝再拝かけまくも畏き当社おん祭なり、御御神楽の起こりといえば、天の岩戸のその昔、八百万の神々高天原にて天照皇大神をきこしましたもうより代々に伝えてみやつこ行い奉り 泰平国土安穏の御祭り事なり」

そして四方に散米しつつ神歌をうたいます。それ故「播種の舞」とも称する。

〽 この米を 蒔くたび毎に神垣の 和光の利益 いよまさるらん

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最後に袖を襷掛けにして御請楽と太刀御神楽を舞います。
柱の端から対面の柱まで膝摺りに早太刀振りを行うのが特徴です。
非常に力強くも修験の法力が感じられる御神楽となっております。

20230903103342IMG_7881.jpg

動画でどうぞ


テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2023.09.07 |

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祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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