長下田神楽「屋島合戦首取りの場」@2023平泉熊野三社奉納公演
さて本日は、2023年5月3日に行なわれた平泉熊野三社奉納公演から長下田神楽で屋島合戦首取りの場です。
その前に長下田神楽の由来について
明治26年(1893)、岩手県西磐井郡花泉町の上油田神楽の南部神楽師 佐藤和三郎を師匠に招き、五穀豊穣を祈願して「橋向神楽」として創設されましたが、その後、二つに分かれ、昭和24年(1949)池田清治を師匠に「長下田神楽」として継承され、現在に至っています。
昭和23年に保存会が設立され平成17年に登米市無形文化財に指定されています。
保持する演目は(神代三十三番)地割、宮鎮、七釜、棟上、庭鎮、初夜榊、宝剣、龍殿、普勝、七五三切、王ノ目、魔王、地讃、荒神、五大龍、湯引、帝童、笹結、薬師、三番叟、大乗ノ下、天王、正足、神拝、神招舞、後夜榊、蕨折、岩戸入り、岩戸開き、鐘巻、鬼門、橋引、権現
(神代三十三番外)神おろしの舞、八幡舞、雛之川舞、西の雲(鳥舞)、御室焼、天神七代、地神三代、彦火火出見尊、水神明神舞、天孫降臨
(狂言)牛若丸鞍馬破り、朝見ずの里、源義経東下り、屋島合戦、一の谷合戦、熊谷直実敦盛首取りの場、石童丸、待賢門の戦、信田が森安倍保名子別れの場、
となっています。大乗神楽の演目もかつては演じていたということのようです。
現在の代表は千葉忠行さんです。
演目は一の谷で平敦盛の首を熊谷次郎直実が討ち取る場面です。
無冠の太夫平敦盛
熊谷丹治治郎直実
熊谷次郎直実が味方の舟に乗り遅れた若武者平敦盛を見つけて呼び止めます。
戦いになり直実が敦盛を組み伏せるも、我が子と同じ年頃の敦盛を不憫と思い逃します。
そこへ、同じく早駆けしてきた平山判官秀重に呼び止められ、敵に二心ありと責められます。
この時、幕内より平山武者所の面のみだしてセリフを語る。南部神楽独特の演出です。
平敦盛が熊谷直実に呼び戻され、熊谷殿ならこの首差し上げましょうと告げます。
がしかし、我が子と同年代の敦盛をみると首をうつことができず。
それとみた敦盛が自害しようとすると、直実がその手を止める。
やむなく熊谷次郎直実は涙を飲んで敦盛の首を取らざるを得なくなります。
念仏口説きがかかります
〽 西は西方弥陀如来、東は東方南無三宝、南は南方薬師如来、北は北方八幡大菩薩
中に立ったる敦盛が極楽浄土に参るように
最後の場面では敦盛の面と采を持って討ち取ったことを表現している。
〽 迷わず成仏いたされよ
動画でどうぞ
