夏山神楽「御神楽」@2022民俗芸能による祈りと絆
さて本日からは、2022年11月5日に一関文化センターで開催された「民俗芸能による祈りと絆」芸能祭のリポートとなります。
この上演会は「芸能が持つ祈りの力によって悪疫退散を祈り、市民が地域の絆を感じてこれからの生活の支えとなるよう上演会を開催」するという趣旨で行われたものです。
収束の見えないコロナ禍にあって、上演機会が少なくなった一関地方の民俗芸能を市民が鑑賞することによって今一度地域の絆を確認し、民俗芸能の時代への継承を考える場ともなりました。
ということで、幕開けを飾ったのは東山町の夏山神楽で御神楽です。
夏山神楽の由来については「東山町神楽保存会創立10周年記念誌」より
「大正10年、竹沢神楽の千葉勇之進の弟子高橋寅之助が竹沢から横沢に分家した。
分家後、夏山横沢の佐藤林兵衛が庭元になり、小野寺喜代治、千葉吉蔵、佐藤長治右衛門、横沢鉄郎の協力を得て夏山神楽を組織した。
初代の舞手は佐藤博、小野寺栄三郎、佐藤正木などが中心になって盛んになったということです。
その後、代々引き継がれてきた。夏山神楽は現存する田河津唯一の神楽組である。」
ということです。
夏山神楽は戦後一時期途切れていたが、昭和40年代に子どもたちに教えるようになり、昭和47年には小学生高学年4~5人が習い、中学生になるまで続けた。その後、中断、再開を繰り返し現在に至る。
庭元で胴取の高橋敏一氏(横沢)が亡くなり、小野寺福蔵氏が現胴取となっている。(以上 「南部神楽調査報告書」一関市教育委員会編(H28.3) より)
そしてこの日胴を取っていたのは現保存会会長でもある佐藤鉄也さんです。
現在は一関市に統合した旧東山町は昭和30年に田河津村と長坂村が合併して東山村となった。
それ故か、神楽の系統も田河津と長坂では系譜を異にしているようだ。
現東山神楽保存会の神楽が長坂村系統であり、高金神楽の佐藤金治郎の流派であったのに対して、夏山神楽は田河津村系統であり、源流の竹沢神楽は明治20年頃に千葉栄三郎が達古袋神楽から伝授され、父幸蔵とともに部落の青年たちに指導したとある。
そういった訳で、東山の神楽の御神楽・鶏舞にはそれぞれ特徴が異なる舞の手になっているのは注目すべき点と言える。
思えば2015年に一関市の民俗芸能調査で神楽上演会を行った際に衰退著しかった夏山神楽は、佐藤鉄也さんが自ら打った太鼓のテープに合わせて荒舞を演じたことが印象的だった。
その後、一関市教育委員会の支援を得て活動を再開し、夏山の人々で神楽を継承しているということです。
まさに民俗芸能による祈りと絆に相応しい幕開けとなりました。
動画でどうぞ
