高屋敷神楽「機織り女郎」@2022第44回一戸町郷土芸能祭
さて本日は、2022年11月13日に行なわれた第44回一戸町郷土芸能祭から高屋敷神楽で機織り女郎です。
この演目はなんと30年ぶりの上演ということでした。
その前に高屋敷神楽の由来について
「高屋敷神楽の源は、上女鹿沢の三明院という山伏にあると言われている。神楽は権現を捧持する山伏の重要な職分でるため、神楽を一人で舞うことは出来なく、12人の神楽男と呼ばれる人が必要だった。三明院が最も近くのまとまった村落である高屋敷の人々に神楽を伝え、神楽男に仕立て上げたのが高屋敷神楽の始まりと言われている。高屋敷地区では、小中校生へより多くの演目を伝承するなど後継者育成にも努めているという。」
ということですが、現在の保存会代表は大木勇司さんです。
この演目は早池峰神楽系でも同様に女舞の執念ものとして位置付けられていますが、二戸の神楽、中山手でも同様です。
今回の上演ではその両方の芸態の相違について確かめることのできる絶好のチャンスでした。
機織は、山伏神楽の中でも年寿、蕨折、鐘巻などと並んで女舞の執念ものです。
能で言えば砧に対応する内容で、ストーリー仕立ても複式夢幻能の形を採っています。
物語は、若狭の国に機織りの上手な女がいて、毎日機を織り、天気の良い日は日に百疋、曇の日は五十疋の絹を織っていた。
ある日、その夫が都に出て三年三月戻らなかった。
その間に機織り女の近所に住む長者が横恋慕し、里の怪しき者をして夫は都で女と暮らすようになりもう戻らないそうだと告げさせる。
それに逆上した機織り女は自ら機織機械を打ち壊して若狭が浦に身を投げる。
それから七日後に夫は里に戻ったが、妻の惨事を聞きつけて、自らの髷を切って僧になり女の菩提を弔うが、機織り女は亡霊となって現れ、地獄の様を機織りに擬して演ずるというものである。
機織の女郎
機織の女郎がミゾロが淵に身を投げんとするときにその七ツ子が必死に母の袖に取りすがり止めようとするが、母は聞かずに身を投げる。
後日、山伏修験がこの地を訪れて、かの話を聞くに及び法力にて鎮めんと祈祷する。
一方機織の女郎の怨念は夫への想い捨てられず、その様を機織をする自分の姿で呼び戻そうとする。
ここからが機織り女の執念の凄まじさがおどろおどろしいまでに表現される場面となります。
〽 天の川に 年一度、逢瀬の契り、そめかへも愚かなり、瑠璃や珊瑚の機道具を、機織れ機織れとせむる声は小松の音もおそろしい、思いは積もりて山となる、涙つもって淵となる・・・
動画でどうぞ
