女鹿神楽「若子舞」@2022第44回一戸町郷土芸能祭
さて本日は、2022年11月13日に行なわれた第44回一戸町郷土芸能祭から女鹿神楽で若子舞です。
その前に女鹿神楽の由来について
女鹿神楽は、一戸町周辺に伝わる三明院系統の神楽とは異なる発祥を持っている。
女鹿、小友地区は江戸時代に遠野南部の領地だった事があり、幕末に遠野の役人外岡織右衛門が移り住んだ際に、供の者が神楽を修したのではないかということです。
その後、澤口藤吉(明治37年没)が師匠となって竹原太郎等に神楽を指導して現在の女鹿神楽となった。
元神楽保存会長の竹原善助によると遠野の神楽は女鹿神楽とよく似ているという。
遠野の神楽には3つの流派があるが、女鹿神楽は遠野山伏系の神楽ということだろう。
一戸町の神楽は三明院系統の神楽ではあるが、この女鹿神楽はそれとは異なっていたが時代が移るに連れて習合してきた感じはある。
もっとも、遠野山伏神楽も八戸南部領から移り住んだ山伏が影響を与えたとすれば、北上高地をぐるっと巡って伝播したということも言えるか。
さて若子舞です。他の山伏神楽では年寿という題で演じられますし、法印神楽の吾児にも通底しているようです。
演目の概要は、老人夫婦が熊野権現に願掛けをし、80歳の翁は30歳の若者に、70歳の媼は20歳の娘にと若返ったという長寿を願うめでたい舞となっています。
そこへ、沙門が出て、老人を若返らせたのは神の力によるものだと説く
〽 おう 御前に立ったる沙門は、いかなる沙門と思し召す。われはこれ只今舞ったる女の沙門にてござそうろう
しずしずとおん囃しくださるなれば、花の若子をもう一度呼び出して、重々人の人々へおん目にかけばやと存じ候
それに応えて若子が出て一舞する
ところでこの若子が打ち振る茶色の帯様のものは何を意味するものか
と、そこへ道化姿のホロロンズが出てきて若子にチョッカイを出す
ホロロンズというのは方言で、変わっている若者という意味で、やることなすことが噛み合わない者のことなそうです。
道化ですので、胴取との軽妙なやり取りが醍醐味です。
神楽の道化役は、必ず舞上手がなるもので、可笑しくも練達の技を見せてくれます。
このホロロンズは、馬喰だったということで、昔は合間に南部馬子唄も披露したりしたということです。
それにしてもこのホロロンズ、舞が上手いなあ!
動画でどうぞ
