墓所から新仏宅へと仏供養の鹿踊 外山鹿踊
さて本日は、2022年7月24日に行なわれた外山不動尊神社例祭から門掛けのリポートです。
集落内の各神社に参拝を済ませた鹿踊一行は集落のご先祖様が眠る墓地へと向かいます。
ここは外山の共同墓地というわけですが、墓石の墓標はすべて「川崎」姓 聞けば集落19戸のうち18戸が川崎という。
先祖の墓所に奉じるのは鹿踊がもつ慰霊の機能といえる
終わって次の場所へ行く道中、日頃疎遠になっている地域住民を結びつける場面 祭りっていいなぁ
そして次は新仏宅から頼まれての念仏回向
ここであげられる鹿唄は特別な意味合いを持つ
禮香
〽 西方は 西にあるとは 申せども
釈迦の浄土は 北にこそある
〽 北は釈迦 西は弥陀の 浄土なり
阿弥陀の光で うかべわが親
〽 闇の夜に 鳴かぬ烏の 声聞けば
生まれぬ先の 乳を恋しい
〽 幼子は 形見に残す 風車
見るより先に 涙なるもの
〽 ししこ 篠竹 やまし竹
節を揃えて 切をこまかに
シシ踊りは、太鼓系でも幕系でも夏の盆供養に踊られる芸能である。
これは恐らく仏教において成仏の邪魔をするものを祓うシシを芸能化したもので、その本懐は仏供養にほかならない。
それ故に鹿踊で供養するには幼子たちの踊りを捧げるのだろうと推量される。
この日、次に舞い込んだのは外山鹿踊の頭を作った大工さんの家の供養門打ちです
民俗芸能とは本来は伝承地の外部に打ち出すものではなく、その本懐とする五穀豊穣、大漁祈願、先祖供養や諸難消除を祈祷することを請い願うものであった。
それが近年においては、文化財としての価値観を見いだされたり、行政の思惑で観光資源となったり、一部の芸能FANの標的になったりとしている。
しかしながら、民俗芸能の本来の意義、価値は踊る、謳うことによる願いの成就にある。
民俗芸能の継承について危機が叫ばれている今日だが、地域の民俗芸能が無くなることが危機なのではなく、地域コミュニティが無くなることこそが危機なのではないか。
そういった意味からは外山集落の取り組みや紐帯は優れた実践と思います。
動画でどうぞ
