早池峰獄流石鳩岡神楽「御神楽奏上、鶏舞」@2022櫻山神社例大祭奉納
さて本日からは、2022年6月4日に盛岡市櫻山神社で行われた例大祭芸能奉納についてリポートしていきます。
最初は早池峰獄流石鳩岡神楽です。
この日は神楽だけは神社拝殿内にて行われ、他の芸能は外の境内での奉納でした。
石鳩岡神楽の神楽幕に「昭和33年南部家定紋拝領」と染め抜かれております。
昭和33年、菊池作兵衛が石鳩岡神楽の代表の時に早池峰岳流石鳩岡神楽保存会を結成し、南部家に南部家紋章「双鶴」の使用許可を願い出て、師匠の岳神楽と同様に神楽幕や衣装に「双鶴」を使用することを許された。
それ以来現在に至るまで南部家鎮守の桜山神社例大祭には欠かさず神楽を奉納しているということです。
震災の年と、コロナ禍で中止となった年もあったわけですが、今年は本懐を遂げることができたということです。
神事の後に祭神に向かって御神楽の奏上です。
爽やかな風が吹き抜ける拝殿内に笛鉦太鼓の音が厳かに流れていきます。
まずは鶏舞から
「鶏舞は「伊弉冉尊・伊弉諾尊・天宇受売命・思兼命の四種を想像したる舞にて四人にて舞いたるもの、今は略して二人にて舞うなり」と岳神楽の台本には書いてある」と岩手の民俗芸能山伏神楽編の中で森口多里が引いているとおり、今の早池峰神楽で鶏舞は二人舞となっているが、遠野市の神人神楽などでは四人での鶏舞が舞われている。
さらに、本田安次は山伏神楽・番楽の中で、「(番楽の)鶏舞は考えようによっては一種の振鉾とすることもできよう。しかしもっと別の意味もこの舞にはあるらしい。雌雄の鳥が出て、次第次第に睦び合う様を仕組んでいる。この鶏舞と次の御神楽とは別曲に相違ないのであるが両者入り混じっている所がある、すなわち早池峰神楽でいう鶏舞は実はもと御神楽であったと思う。」と解説しているとおり、秋田の番楽の鶏舞は二羽の鳥が舞い遊ぶ様が描かれているのに対して早池峰神楽の鶏舞は痕跡は残しているが、洗練された舞となった分だけより一層象徴的な抽象舞となっていて、全体の感じも御神楽(場を清める祈祷舞)になっている。
動画でどうぞ
