上町法印神楽「笹結」@2022第16回神楽共演石越大会
さて本日は、2022年6月12日に行なわれた第16回神楽共演石越大会から上町法印神楽で笹結です。
石越神楽大会で法印神楽が出演するのは極めて珍しいことではないでしょうか(初?)
上町法印神楽といえば秋のまめからさん祭りでの神楽奉納が有名ですが、それもコロナ禍の中で2年中止となっていました。
なので、久しぶりの神楽上演となったのではないでしょうか。
ということで、演目紹介に行く前に紹介を
「上町法印袢楽」の起源について江戸時代中期以降に法印が集って神楽を行ったという記録が見えます。
ちなみに神楽を行っていたのは
豊里町大曲の喜学院(佐々木家)
豊里町上町の宝壽院(土肥家)
米山町後小路の大善院(鵜木家)
〃 福壽院(遠西家)
米山町桜岡の定学院(菅原家)
米山町猿ケ崎の地蔵院(榊山家)
米山町善王寺の五大院(豊原家)
米山町八軒小路の定泉院(豊原家)
登米町寺池の大宝院(春日家)
登米町針田の南光院(田村家)
であり、登米十法印が神楽組を組織し「北流古代御神楽」として各神社の祭典において演じられてきたというものです。
また、明治33年に稲荷神社の神官である土肥豊穂によって書かれた「神楽日記」の内容が、志津川町の「戸倉本」や気仙沼の「気仙沼本」と全く同様であることなどから、当時においてすでに交流があったものと思われる。
ということです。現在の代表は酒井政隆さんです。
2年ぶりということでメンバーも世代交代のようです。
さて、演目の「笹結」は、同じ法印神楽でも神楽組によって小異があり、主役が田中明神であったり素戔嗚尊のところもある。
伊弉諾伊弉冊の二神が平和な大八洲の国を造った所、そこへ五鬼大臣という胴が一つに頭が五つある悪鬼が現れて悪行を働く、それを素戔嗚尊が退治するという物語で、清め払いの舞であるということです。
素戔嗚尊(田中明神とも)が出て、責め舞を決めて神諷をとなえます。
〽 夫れ 天神七代 伊弉諾 伊弉冊の尊、しかるに国土を生まんがため 天の浮橋の上に立て、この海原を探らせ給う時、矛の先より生まれたる島をオノコロ島というなり。
大八州の国に五鬼大臣が現れ悪業すなりという、よってこれを退治せんやのう
次に屏風の陰に隠れていた五鬼大神が荒々しく出る。
屏風の陰から出てくるところが正に浜神楽ならでは。
激しい闘いになります。
法印神楽の通例通り舞台を飛び出しての荒事を繰り広げる
田中明神が五鬼大神退治に苦慮していると、五鬼大神の身につけている帯が自分の妻が身につけている帯であることに気づきます。
〽 人知らで 肌着に結ぶ岩田帯 心尽くしの人を待つらん
とて、素戔嗚尊は五鬼大臣の首を取らずに追い祓います。
最後は太刀御神楽で舞い納めます。
悪魔退散、商売繁盛、五穀豊穣、大漁祈願を満足する祈祷舞であります。
さて、この笹結ですが、笹の竹は成長の早い生命力の象徴として崇められ、舞手の持つ鉾や舞台装飾などに多く使わている。
田中明神と五鬼大神の戦いの際に青竹が打ち付けられる所作自体が邪気を祓う意味があるとされ、笹結びの重要な意義をもっている。
動画でどうぞ
