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2022.06.02 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ神楽

黒森神楽「山の神舞」@2022黒森神楽春季神楽祭

さて本日は、2022年5月29日に行なわれた黒森神楽春季神楽祭から黒森神楽で山の神舞です。

楽唱  〽 ヒイーヤーハー 山の神
         サンヤー山の神 山の神サンヤー

荒舞の送り出しは、今から神楽が始まるという高揚感を煽らせる。一頻り息を凝らして足捌きを注視する。



山の神舞は黒森神楽や鵜鳥神楽では最も重要とされる演目=神様であり、漁業や山仕事農業を守護する神として崇拝されている山の神を表したもので、非常に手の込んだ構成になっています。
また、山の神は女神であるとし、十二人の子を産んだとされ、面が赤いのは産みの力みという。
また黒の二重襷は背に赤子を背負うことを象っているとも。

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爪米を採って散供となり、神座に米を撒いて浄め、客席へも米を撒いて祓いをなす。

〽 サンヤー みくばよね みくばよねサンヤー

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続いて面を外して装束を改めるため幕入りしている間に山の神の本地が語られます。

「面白し 面白し  先や面白し
さあらさらと下り給ふ 今夜あやにます色良き方に候ヘ共
御祈祷に 千代の御神楽舞遊ぶ 参らせたりは重ね重ねに
四季なれば 四季事申す春の四季 四季より御手に遊び申せば
そーも そーも 山の神の御本地を委しく説き奉るに おろかにあらねど
父親ならば大王と申し奉る 母親御神の御名をば金比羅才良しご神と申す也
御夫妻となって 十二人の御子を持たせ賜う
十二人の御子に十二の御身名を付けさせ賜うほどの目出度さよ 目出度さよ
されば太郎は子 次郎は丑 三郎は虎四郎 四郎は卯
五郎は辰 六郎は已 七郎は午 八郎は羊 九郎は申 十郎は酉 戌亥とて
十二人の御子に 十二の御身名を付けさせ給ふ程の目出度さよ目出度さよ
夜の驚き無く昼の騒ぎ無く 升目の鏡に曇りなく 
中よりも山々せんごくとはさてみずから誠を申すなり
山々岳々の腰をゆうり巡り給ふもさて自ら誠を申す也
されば観音は 思の恩の法ぜんが為に 法善法願と弥陀をいただき
そくしん体に恥をなやます
此の殿の 大旦那の 天の不世話の中の間に
一年に一度 二年に二度 下るべくにてはあらねども
正利正善とみ蔭を映し 御利生には何をか与え取らすべし
ひんならん ひんぜ中用仰せおらなんだ
十字かたの付き あやの心来って巡れ共
今日今夜守らせ給ふ大旦那 小旦那の御祈祷と祝ひ申せば」

舞下し 御幣と錫杖を採って軽快に舞います

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舞いの分類として荒舞がありますが、普将、稲荷舞、榊葉、清祓などとともに激しい所作の連続する体力のいる舞です。
舞手が最初に習うのが榊葉で、スピーディな回転や跳躍力を必要とするため若手の演目ということでしょう。
榊葉を会得してから3年ぐらいかけて山の神舞に到達するということです。

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山の神舞は最も神聖で重要な舞である。神楽宿でこの舞が演ぜられる時は、山の神舞が終わるまでは酒が入ることを慎むということが厳重に守られているという。このことは、山の神舞が単なる娯楽の舞ではなく、信仰に根ざした舞なのだということを示している。

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動画でどうぞ

テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2022.06.02 |

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Author:祭りの追っかけ
祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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