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2022.05.22 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ神楽

黒森神楽「山の神舞」@2022田老大漁まつり

さて本日は、2022年5月22日に行なわれた田老大漁まつりから黒森神楽で山の神舞です。

この祭りは前回2019年に訪問しましたが、その後はコロナ禍で開催見送りとなっていました。
そこで今回は対策を施しつつ浜の隆盛を祈願して開催することになったということで見に行った次第。

イベントステージでは、神楽上演に先立ってお約束の松本会長の「宮古弁トーク」が炸裂。いつもながら楽しい!

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といったところで、田老新港みなと公園では神賑として黒森神楽の上演です

黒森神楽については今更説明の必要もありませんが黒森神社の権現さまを奉じて毎年三陸沿岸部を廻村する神楽として知られています。
その廻村は宝暦8(1758)年の「宮古黒森山獅子舞廻り方三閉伊所附帳」によって延宝年間(1673~81)以前から、行われており、また、現在22頭ある獅子頭で最古の記年銘は文明17(1485)年であることから、黒森神楽の発祥は室町時代ということです。
廻り神楽としての活動は、毎年正月3日に黒森神社で舞立ちをし、岩手県沿岸部を南北隔年で回ることを常としている。
北廻りは宮古市から普代村までと、南廻りは宮古市から大槌町と釜石市の一部まで行っている。





演目の山の神舞は村々に稲作などの豊作を守護する農耕の神様であるとともに、沖合に出て漁をなす浜人の目印となって大漁をもたらす神様としての篤い信仰に応えるべくしての演目である。
ちいなみに舞手は地元田老出身の若手です。

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四方を祓う四方浄土の舞に続いて歌がかかると散供となる

〽 サンヤー みくばよね みくばよねサンヤー

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続いて面を外して装束を改めるため幕入りしている間に山の神の本地が語られます。

「面白し 面白し  先や面白し
さあらさらと下り給ふ 今夜あやにます色良き方に候ヘ共
御祈祷に 千代の御神楽舞遊ぶ 参らせたりは重ね重ねに
四季なれば 四季事申す春の四季 四季より御手に遊び申せば
そーも そーも 山の神の御本地を委しく説き奉るに おろかにあらねど
父親ならば大王と申し奉る 母親御神の御名をば金比羅才良しご神と申す也
御夫妻となって 十二人の御子を持たせ賜う
十二人の御子に十二の御身名を付けさせ賜うほどの目出度さよ 目出度さよ
されば太郎は子 次郎は丑 三郎は虎四郎 四郎は卯
五郎は辰 六郎は已 七郎は午 八郎は羊 九郎は申 十郎は酉 戌亥とて
十二人の御子に 十二の御身名を付けさせ給ふ程の目出度さよ目出度さよ
夜の驚き無く昼の騒ぎ無く 升目の鏡に曇りなく 
中よりも山々せんごくとはさてみずから誠を申すなり
山々岳々の腰をゆうり巡り給ふもさて自ら誠を申す也
されば観音は 思の恩の法ぜんが為に 法善法願と弥陀をいただき
そくしん体に恥をなやます
此の殿の 大旦那の 天の不世話の中の間に
一年に一度 二年に二度 下るべくにてはあらねども
正利正善とみ蔭を映し 御利生には何をか与え取らすべし
ひんならん ひんぜ中用仰せおらなんだ
十字かたの付き あやの心来って巡れ共
今日今夜守らせ給ふ大旦那 旦那の御ご祈祷と祝ひ申せば」

舞手が高々とジャンプするたびに彼をよく知る地元の観客からは「ヨイショ!」と掛け声がかかる温かな雰囲気の山の神舞となりました。正に地元ならではでしょうか。

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いずれ宮古市の市民にとって黒森神楽は日常茶飯事な親しみのある神楽だということがよく分かる。

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動画でどうぞ

テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2022.05.22 |

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Author:祭りの追っかけ
祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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