黒森神楽「新岩戸開き」@2022黒森神楽春季神楽祭
さて本日は、2022年5月29日に行なわれた黒森神楽春季神楽祭から新岩戸開きです。
黒森神楽には岩戸開きにまつわる演目が二種類あり、古くからのものを「三番御神楽(旧開き)」とし、昭和初期に創編されたものを「新岩戸開き(新開き)」としている。神楽の巡行で同じ宿に二晩以上逗留する場合は、交互にどちらかを番組に入れるものという。
前者が神仏混淆の修験者の神楽の様相であるのに対して、後者はより神道色の濃い筋立てで、登場する神々も多く出る。
このことは、黒森神楽研究者によると黒森神楽の西口、上坂両氏が所持していた台本の巻物の奥書に「神道大社教黒森神楽講社社長権大講義藤原朝臣昌諄印印」とあり、その中に「岩戸開ノ辞」という件があったことによるのではないかとしている。
楽出し
〽 ヒーヤーハー 岩戸入り
ようよう急ぎゆくほどに ようよう急ぎゆくほどに 高天原に着きにけり
最初に舞い出るのは天手力雄命 荒々しく一舞して言上
〽 我こそは天手力雄命なり ここは高天原にてましますと 四方の神々 神集いたてよろす
受けて太玉命、天宇受賣命、天兒屋根命が出て幕の根に揃い立ち、天照大神を岩戸から引き出す策を神諮りする
天宇受賣命が天照大神を引き出す舞となるが、これは黒森神社の祭礼で湯立託宣の後の神子舞を組み入れたものという。
着物の上に千早を着て、両手に笹を持って笹の舞を舞うのだが、その前に塩で神楽の場を清め、数々の手印を結び九字を切るのが特徴。
また、千早を脱いで両手に持って「獅子の手」を舞う。
現在神子舞においては緋袴を履いているが、明治生まれの神子達によれば昔は着物に千早だったというから、古風を遺している芸態といえる。
さて、天宇受賣命に誘われて岩戸の隙間から外を覗いた天照大神、天手力雄命が岩戸を押し開く。
これを受けて天兒屋根命が伊弉冉尊伊弉諾尊の国産みから始まる御神楽の由来を奏上する。
そして、舞手、囃子方ともに全員で御祝を歌い上げる。
実に目出度い御神楽の寿ぎ哉。
動画でどうぞ
