蓬田神楽「宝剣納め」@2022舞川地区郷土芸能合同演舞会
さて本日は、2022年4月24日に行なわれた舞川地区郷土芸能合同演舞会から蓬田神楽で宝剣納めです。
その前に蓬田神楽の由来について南部神楽の系譜より
「舞草神社は一時期舞草穴倉地内に社地があった頃、神職が大権院神楽を奉納していた。
当時の神楽の師匠は、穴の倉の佐藤円吉、次いで蓬田大助であった。
明治初期、蓬田一族の氏神天神様に神楽を奉納するため、蓬田大助が庭元となり、東磐井郡長島村南部神楽の流れをくむ赤伏神楽の指導を受け、蓬田神楽を創設した。
初代庭元蓬田大助、二代伊藤寅之助、三代蓬田清吉、四代佐藤松治、五代蓬田稔である。」
とあります。
宝剣納めの演目内容について
「神代の時代、乱暴者の神、素戔嗚尊は天上界を追われて出雲ノ国に降り立ち、老夫婦と娘を助けるために八岐の大蛇を退治した。その際、大蛇の尾の先から一本の剣を取り出し、「天叢雲」と名づけ熱田の宮に奉納する。
これを知った岩長姫は、この奉納された宝剣を何とかして手に入れようと企て、鬼女に変化して一旦は手にする。それを見ていた日本武尊はそれを許すまいと争い、その鬼女を退治して宝剣を取り返し、元の姿に戻すのでした。」
とある。
この日の上演は、磐長姫变化が宝剣を奪い取り去る場面まででしたが、法印神楽の系譜を引く蓬田神楽らしく舞振りにタメのきいた力強い素戔嗚尊でした。
素戔嗚尊が幕に入ると入れ違いに磐長姫が舞い出る。
この場面切り替えは、動と静、明と暗、そして男と女のパトスをも想起されて興味深い。これは能楽を下敷きとした南部神楽芸術の舞曲創作の真髄であるかもしれない。
それだけに、南部神楽の演目数ある中で常に上位の人気を得ていたのは当然と言える。
そしてクライマックスは磐長姫变化による天叢雲剣の盗み取りの場面
逡巡の後に磐長姫变化は遂に宝剣を奪う。
鬼女の長ザイから二本の髪が前に垂れていてそれをうまく操ることで凄みを出している。
宝剣を奪い取った磐長姫变化が最後にピョンピョンと跳ねて幕入りするが、これは気高い姫君から、おぞましい蛇身となったことを表しているかのようです。
動画でどうぞ
尚、宝剣納から日本武尊の奪い返しまでを行った上演動画もありますので、こちらをどうぞ
蓬田神楽_宝剣納め
