早池峰大償流土沢神楽「天女」@2020鏑八幡神社
さて本日は、2020年10月25日に行なわれた鏑八幡神社から早池峰大償流土沢神楽で天女です。
天女は早池峰神楽の女舞の中でも、執念ものではなく女神を扱った演目です。
筋立ては善光寺如来を慰めようと如来堂に集まった神々でしたが、順番とて諏訪の神女が一舞して興じると、それにつれて神々もおおいに囃したというめでたい内容です。
幕出しは 〽 明日は祇園の祀り事 いざさら出でて 遊ばんしょう
天女が扇を採って緩やかに舞います。
本田安次の「山伏神楽・番楽」ではこの天女の舞のうち開扇の舞についてこう評している
「この天女の型は南部神楽の女舞の中などにも好んで取り入れられているのを見る。二本扇を使って舞うのは、ほぼこの天女の型と見ていいらしい」 かけ歌はエーハイトリラ など(以下略)
確かに南部神楽の一部の団体では女舞においての胴取歌は「とりらとりら」となっている。
開扇の美しい舞ですが、そのストーリーも興味深い
祇園の神を慰めようとした神々は
「されば今夜の舞神は明神御前のご番にあたって舞参候。
鼓は祇園、笛は熱田の明神の役となり、後ろは岩神、前は辛、右は山王、左は稲荷、それを思えば天の岩戸に神遊ぶ」
とて、神遊びをするなり。
さらに美しく舞う舞神を見た神々から「さん候、働く郎党の賤なるべしとの仰せには、所を名乗るべし」と、何者かを問われても
「所はあたり近うの者、働く郎党の賤なるべし」とて秘して応えず。
祭の夜の幻想的な神楽を彷彿とさせる天女の舞でした。
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