遠野八幡神楽「権現舞」@2021遠野八幡宮例祭宵宮
さて本日は、2021年9月13日に行なわれた遠野八幡神社秋季例大祭の宵宮に奉納した遠野八幡神楽で権現舞です。
その前に再度、八幡神楽の由来について
「八幡神楽は遠野山伏系の神楽で、明治維新前までは遠野一円の山伏が集まって神楽を奉納し、明治になって修験廃止後に上組町の竜法院が中心となって神楽組を結成したのが始まりということです。
早池峰神楽を元にしながら浜神楽等の影響なども受けながら独特の奏楽と舞が展開されます。」
遠野の神楽は大出早池峰神楽系統の神人派と里に道場を開いた羽黒派山伏達によって伝承された山伏派、それに岳・大償の系流が混然となっている。
その中で、山伏神楽について類家英一郎編集「遠野の郷土芸能」にはこう説いてある。
「山伏神楽が明治以前よりなされていたものには、一応、附馬牛の意楽院が伝えた和野神楽、今は断絶した宥永宝明院の神楽(山本家の先祖)、遠野の御蒼前神楽、良厳院の八幡神楽などであろう」
ということなそうです。
こちらの権現舞には由緒があり、遠野物語に記述されているので掲載します。
『遠野物語 第110話』
「ゴンゲサマといふは、
神楽舞の組ごとに一つづつ備はれる木彫の像にして、
獅子頭とよく似て少しく異なれり。
はなはだ御利生のあるものなり。
新張の八幡社の神楽組のゴンゲサマと、
土淵村字五日市の神楽組ゴンゲサマと、
かつて途中にて争ひをなせしことあり。
新張のゴンゲサマ負けて片耳を失ひたりとて今もなし。
毎年村々を舞ひてあるくゆゑ、これを見知らぬ者なし。
ゴンゲサマの霊験はことに火伏せにあり。
右の八幡の神楽組かつて附馬牛村に行きて日暮れ宿を取りかねしに、
ある貧しき者の家にて快くこれを泊めて、
五升桝を伏せてその上にゴンゲサマを据ゑ置き、人々は臥したりしに、
夜中にがつがつと物を噛む音のするに驚きて起きて見れば、
軒端に火の燃え付きてありしを、
桝の上なるゴンゲサマ飛び上がり飛び上がりして火を喰ひ消してありしなりと。
子供の頭を病む者など、よくゴンゲサマを頼み、その病を噛みてもらふことあり。」と。
八幡神楽のゴンゲン舞にだけ遠野物語110話のごとく、赤布を炎に見立て火を喰い消す所作があり、特に火伏せの御利益があると伝わる。
赤い布を口で噛み、火伏せの祈祷をしています。
最後に参拝者の皆さんに身固めをしました。
動画でどうぞ
