築館大乗神楽「帝童」@2021第27回大乗神楽大会
さて本日は、2021年6月13日に行なわれた第27回大乗神楽大会から築館大乗神楽で帝童です。
二子築館大乗神楽の由来について
「和賀山伏神楽大福院(現新山神社)の系譜を汲む更木船渡神楽が前身とされます。
船渡神楽の庭元佐藤新作のとき、旧二子村上宿の千田和作の世話で千田行全法院(元二子八幡神社宮司)から教えを受け、昭和29年ころには、斎藤幸全(上宿和賀神楽庭元の曾祖父)から再度教えを受けました。昭和41年、北上川河川工事に伴う堤防建設により、更木船渡集落の一部が移転することとなり二子町築舘集落に19戸が移住しました。それによって神楽伝承者も分割され、太鼓のみ伝授して分流することになりました。
その後、八重樫亀蔵及び佐藤房雄、斎藤重蔵の3氏から権現頭一頭が勧請されて「築舘神楽」が発足することとなり、改めて同系統の宿大乗神楽に師事し、下舞と権現舞を習得します。
昭和50年瑶全法院千田貞三から藤巻新吉ほか9名にあてて山伏権現舞の得度証が伝授されて正式に築舘神楽の発足に至りました。」
ということです。
大乗神楽には女舞として女性が主役となる演目に鐘巻、帝童、蕨折がありますが、帝童のみが一人舞で他のニ演目は複数役が出る執念ものとしての物語となっています。
帝童は竜女で本地仏は師士音仏であるとし、後生での孝を願うものとされています。
太鼓の拍子も他の演目と異なる特徴的なものです。
幕上げ歌は
〽 ようよう急ぎ行く程に 熊野参りの帝童にて いざさらいでて 若子舞う
紫地の隠布で頭を包み、鉢巻、若女面、日輪のカンザシを付けて舞いでます。
ネリの部分では、女性の日常の仕草を舞踊化したともいえる独特の所作があり、掌を顔面にかざして舞う場面では
オカド(囃し方)が神歌をかけます
〽 「エーセンヤー 鏡見ろ見ろ鏡を見ればしなは尚勝る 面白ごほうぜ エヤラア
この鏡を見ろというくだりは法印神楽にもあり、親の顔が恋しくば鏡をみればそこに親に似た顔があるという喩えです。
これは、仏典「百喩経」の中にもあるもので、日本では説話として伝わり、亡き親の顔を拝んで供養したいと願った親孝行の村人に領主が鏡を与え、「子は親に 似たるものをぞ 亡き人の 恋しきときは 鏡をぞ見よ」と書き贈ったというものです。
そこから孝女の物語としての帝童の演目にこの所作が取り入れたのではないかと思います。
〽 鈴立てろ鈴立てろ 鈴立てれば科は尚勝る 面白ごほうぜ エヤラア
また、錫杖と畳扇を持ち、顔の両側でクルクルと回す所作がありますが、これを片耳かき、両耳かきと呼ぶ。
最後はちらし扇で舞い納めます。
動画でどうぞ
