本郷神楽「山の神舞」@2020南部神楽鑑賞会
さて本日は、南部神楽鑑賞会から本郷神楽で山の神舞です。
その前に、本郷神楽さんの由来について、阿部正瑩著「南部神楽系譜調査報告書」から
「藤沢本郷には、古くから法印神楽が伝えられて来た。 明治一五年、浜横沢の加藤勇八が、西磐井郡厳美村の三輪流瑞山神楽を学び、保呂羽神楽を創設した。加藤勇八の弟子の佐藤留五郎は神楽に精進し、舞もすばらしく神楽の師匠となった。
大正二年、村社葉山神社の世話係の小野寺馬吉が世話人となり、佐藤留五郎を神楽の師匠として迎え、畠山一男、熊谷八重治、千葉三郎、熊谷新吉等が舞手となり、葉山神社の代々神楽として、本郷神楽が復活された。」
ということです。庭元歴代は佐藤留五郎、畠山一男、熊谷八重治、畠山春男、熊谷功、そして六代目が佐藤賢吉となっています。
本郷神楽は式舞、神舞の演目が多く伝承されていて、式舞は鶏舞、翁舞、三番叟、八幡舞、山の神舞、岩戸開きとなっている。
また、特に荒舞である「サンヤ舞」をよく残していて「神舞七神楽」と称している。
サンヤ舞とは幕揚げの掛け歌に「サンヤー」と歌われる演目で、八幡舞、山の神舞、明神舞、勇伝之部(龍殿)、天下里之部(天降り)、参宝荒神、水神明神となっている。
さて、山之神舞です。
幕だしは
〽 サンヤー 山之神はよー 山之神はなー サンヤー
鳥兜に青のサンヤ面をつけ、折敷に米、刀、扇、鉾を載せたものを押し戴きながら舞い出ます。
そして、他の神舞ではつけていなかった九字(手ジメ)を付けて舞うのは、山伏神楽と同じ作法と言えます。
胴取りの歌が サンヤー よねを取れやー になると舞手は折敷をもって米を撒きます
そして、山之神が自らの本地を言立てます。
〽 サラサラと降らせ給う権者 色良き飾り 高麗のセンヤコンヤ
あやにまします 山之神の本地を詳しく説き奉るによって
これ山之神の父親をば大山祇之神と申すなり 母をば大山祇尊と申すなり
みさいとなりて持たせ給う御子 これより北にあたり山之神さんさ 大神とたておわします
今年今月今日この所に舞い降り、 山の神大神現れ給うによって
一年にひとたび二年にふたたび巡るべきにはあらずして
千人の人にも喜ばれ 万本の木萱にも喜ばれ
みな安産繁盛のためとて もう一舞舞いて楽しみ申さんやと
これより鳥兜を取り、面を外してのくずし舞となります
胴歌に 「ロクサンノース」がかかると、六三の足の足次となります。この辺も祈祷舞の型をよく残しているといえます。
続いて太刀舞になります。
二本の刀を採って勇壮に舞いますが、特にも二本を逆太刀にしての舞型は、山伏神楽の古い型をも想起させます。
今回の舞手は神楽女子でしたが、初めて見ました。見事な荒舞でした。
動画でどうぞ
