牧澤神楽「安倍保名葛の葉子別れの場」@2020一関民俗芸能祭 疫病退散祈願
さて本日は、一関民俗芸能祭 疫病退散祈願から牧澤神楽で安倍保名葛の葉子別れの場です。
その前に、牧澤神楽さんの由来について定本より
「明治42年秋、牧沢部落にある八幡神社の秋季例祭に、西磐井郡山目村赤荻笹谷神楽を奉納した。
この神楽のすばらしさにひかれ部落の八幡神社の奉納神楽を組織しようと相談した。
阿部繁雄他八人が世話人となり、西磐井郡金沢村、飯倉神楽より菅原貞四郎、菅原惺、高橋衛、岩渕惣之進等の師匠を招いて神楽の指導を受け、牧沢神楽を創設した。
初代庭元阿部繁雄、二代阿部繁美、三代阿部繁行である。」
とありますが、昭和末期に中断した。その後真滝中学校で鶏舞を指導された子供たちが成長し平成14年に再結成した、現代の代表者は阿部繁行さんです。
葛の葉子別れは、奥浄瑠璃から取った仕組み神楽の代表的なものである。
安倍晴明の誕生譚をもとにしたもので芦屋道満大内鑑からきていると推測される。
奥浄瑠璃は東北地方に流布したものだが、それに先行すると思われる新潟地方の瞽女唄では、唄い出しがこうだ
「ものの哀れの始まりは 芦屋道満白狐 葛の葉子別れ物語~」
そして葛の葉姫の物語の内容は次のものだった。
葛の葉姫は狐の仮の姿だった。ある日、狐狩りの時に命を救われたことから葛の葉姫に化身し、命を救ってくれた男の子どもを産んでしまったが、自分は狐。やがてその子が5つになり、自分の化身が現れる時がきてしまう。子どもを置いて信太の森へ帰る母親の哀しみを歌った唄。戦時中は夫や息子を戦地へ送った婦人が咽び泣いたという。
とここで装束を直すアクシデントの間に胴取さんが撥車を披露です。機転がききますね。
葛の葉は夫である保名にあてて別れの歌を一首障子にしたためます。
これが、行書を普通に筆で書くのも難しいのですが、南部神楽ではいろいろな手で書きます。
これは伊勢神楽などでも余芸としてつたえられています。
「恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」
保名が帰ってきて童子丸の枕元に手紙が添えられてあるのを見つけ、文に目を通すなり葛の葉の後を追いかけます。
とここで葛の葉が白狐の姿で現れますが、これがまたかわいい小狐風、役者は小学生のようです。
保名が見覚えのある姿にもしや葛の葉では、ならば人間の姿に戻ってこの子に乳を与えよと頼みます
しかし、葛の葉は保名に童子丸をせめて十歳までも育てよと請われますが、我が身は狐なれば叶うまじと断ります。
その代わりに、童子丸が賢く育つようにと宝珠を授けて去っていきます。
ということで、幼子を抱いて都へと帰りますが、この子が長じて有名な陰陽師安倍晴明となります。
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