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2020.09.05 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ神楽

小田代神楽「権現舞」@2020第45回胆江神楽大会

さて本日は、第45回胆江神楽大会から小田代神楽で権現舞です。

小田代神楽さんは、神楽のカテゴリでは一応南部神楽の範疇にあるので、権現舞は無いはずですがあるんです。
しかも、山伏神楽の権現舞とも様式を異にしています。
実はここに南部神楽と権現舞・獅子舞の関係のヒントがありそうなのです。



権現様を舞わせる二人の舞手が登場する訳ですが、ほとんど山伏神楽の権現舞と同様です。

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が、やはり特徴的なのは権現舞の前半部分は、岩手県南部の胆沢地方から宮城県北地方に広く分布する獅子舞の様式をとっていることです。つまり、獅子を神の権現としているというよりも、獅子あやしによって祓われる聖獣としての獅子として扱っていることです、なので最初に獅子あやしが刀でもって獅子を祓う所作があります。

IMG_029520200822195330.jpg

そして、次に獅子あやしが山伏神楽の権現舞につきものの別当役に変わって酒や米等を獅子に振り掛け祓う所作になります。

小田代神楽さんが伝授を受けた北下幅神楽や瀬台野神楽にはもちろん権現舞は無いものの、同じ集落内には正月の春祈祷をする獅子舞がありました。それは天狗を先頭に刀振りと獅子舞が悪魔祓いをし、祈祷札を配るために門付けをして歩くものでした。
その一方で小田代集落の周りは南部藩境にあるため、山伏神楽から派生した権現舞だけを伝承する地区が沢山ありました。
小田代神楽さんでも集落内の寺に頼まれて権現様を回すようになり、現在では5月の江刺甚句まつりの際に秋葉神社の要請で岩谷堂地区を門付けすることになった。

このような関係から、山伏神楽由来の権現舞と羽黒修験の獅子舞とが混然となった権現舞が成立したのだと推察します。

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最後は舞台下に降りて観客の皆さんの頭齧り、身固めをして回りました。

最後は神送りの唱詞の奏上です。
「登保加美恵美多美次良震選離押兌乾祓披給清米給・・・畏美畏美母白須」と唱えます。

以上で第45回胆江神楽大会のリポートを終わりますが、コロナ禍で様々な芸能上演の場が失われる中、なんとしても開催したいという実行委員会の熱意が通じて盛会のうちに幕を閉じた訳ですが、来年は更に盛大に開催されることを祈念します。


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動画でどうぞ

テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2020.09.05 |

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Author:祭りの追っかけ
祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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