円万寺神楽「狂言 饅頭売り」@2020円万寺系神楽初舞
さて本日は、円万寺系神楽初舞から円万寺神楽で狂言で饅頭売りです。
円万寺神楽の由来を「奥州南部神楽史料集(東日本ハウス本)」より抜粋する
「円万寺神楽は、円万寺修験別当一乗院(のちに一定院、一条院等と称す)が管掌してきたもので、慶長年間、稗和二郡の領主となった花巻城主北松斉が円万寺神楽を取立てたとの伝承が語られ、その由緒の古さを伝えている。
当時より別当一乗院は羽黒派に属し、旦那場は円万寺村四十九戸ほどであったが、古例としての春祈祷の神楽巡廻は他村まで及んでいたことは、盛時の遺習として行われたらしく、このため他村の霞主と争克を生じたことが伝えられている。
円万寺神楽は、その芸能的特徴として大迫町の大償神楽と同じく七拍子といいい舞振りが比較的ゆるやかで優雅であるが、舞の構成、舞法等を異にし古態な芸風を有するところに、この地方では特色ある山伏神楽として注目されてきた。式三番に、早池峯神楽等では既に見られなくなった千歳の曲を伝承してきたこともその例証といえる。」
とあります。
さて、合いの狂言です。
この日は「饅頭売り」という円万寺神楽独自の演目が出されました。
円万寺神楽は、狂言演目も多数伝承していて、当村の福、太郎狂言、狐取り狂言、花下ろし、宝下ろし、寺渡しなどの曲があるという。
さて、饅頭売りです。この演目の別名は「うすこ引き」です。その意味はこのブログ後段に解説します。
冒頭で饅頭売りの婆さんが出て胴取と掛け合いをします。
〽 まんじゅう まんじゅう
で、婆さんが饅頭を売り歩いていると怪しげな男が鳶のふりをして婆さんの饅頭をかっさらって食べてしまいます。
※狂言はその神楽の地域の方言で語られるため、解説しながらすすめます
ということで、饅頭売の婆さんと怪しげな雲助との問答が始まります
〽(婆さん)饅頭取って食ったの誰だ!
〽 (雲助) 俺でね
〽(婆さん)取ったのおめだべ、口のまわりに饅頭のあんこがついてる
しかし、雲助は無実を主張するため会場の皆さんに同意を求めるのでした
そこで饅頭売りの婆さんが検断(昔の警察官)を呼んでどちらが正しいか勝負をしろと迫る
最初は、饅頭売りの婆さんと雲助とで腕相撲をしようとする。
結果は、引き分け
勝負がつかないことで、雲助が提案したのが「うすこびき」です。
「うすこびき」とは、「うすこ=後ろ頭(うしろこうべ)」の意味で、帯を輪にして互いの後頭部の力を試す若衆の遊びから発展したものと推量される。
最後には饅頭売りの婆さんが力強く雲助を引っ張って幕入りです。 正に感服!!
動画でどうぞ
