綾内神楽「小山の神」@2019石鳩岡弟子神楽共演会
さて本日は、石鳩岡弟子神楽共演会から早池峰岳流綾内神楽で小山の神です。
その前に、綾内神楽さんの由来について
「綾内神楽は大正四年、当時部落にあまりにも火災が多発し思案の末、昆野金蔵・昆野喜―の発案により、水押神楽佐藤熊ノ助・昆野運吉両氏の指導を受け「しんが<」「下舞」「権現舞」をならったのがはじまりである。その後秋葉請中を作つて以来八十年間一度も欠かす事な<、毎年―月十七日を火防祭として各戸を祈祷して参っている。昭和五十六年には師匠石鳩岡神楽より本格指導を頂き、そして昭和六十年には、奥付書の伝を賜り、現在に至っている。」
とあります。
さて小山の神です。
山伏神楽では代表的な荒舞に「山の神舞」がありますが、小山の神はその裏舞とされています。
山の神のモドキであり道化仕立てとなっています。久々にこの演目を見ました。
舞の内容は山の神とほぼ同様ですが、山の神とは違って修行等を怠けて遊んでばかりいるので諸事にうまくいかない様相を表迂言しています。なので、手次などの所作もどこか投げやりで、杖等を床に投げやったりする滑稽味が身上です。
まあ、この日は散米とともにお菓子などを客席に撒いたりといったサービスもありましたが。
と、何やら股間に怪しいものを挟んでいますが、これは後腰に下げた瓢箪です。
この日の神楽解説では、これは豊作の予祝でもあるということ。もちろん子孫繁栄も祈祷しているのでしょう。
さて、扇舞がすんで千早を脱ぎ、いよいよ太刀舞というところで刀が鞘から抜けません。
観客の手を借りて様々滑稽にやり取りしますが抜けません。
最後は心を入れ替えたとばかりにしっかりと祈祷をすると、卑小な刀が見事に抜けました。
これが四五寸ばかりの陽物である場合もあるという。
ここで舎文
〽 さらさらと 天降ります山の神
小山の神とは自らがこと
最後はしっかりと祓って舞納めます
小山の神舞の真意は、前半のような怠けた態度を戒め、後半のように真剣に取り組めば利生があるという教えなのかもしれません。
舞手は八十余のベテラン。千早の紐が解けてもさらりとかわす巧者の舞でした、眼福。
動画でどうぞ
