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2019.11.18 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリシシ踊り

田郷鹿踊「両宿入羽~突合い」@2019第39回金ケ崎町郷土芸能発表会

さて本日は、第39回金ケ崎町郷土芸能発表会から招待団体の田郷鹿踊です。
今回は金ケ崎町との芸能交流を通じて復興支援交流をしていこうということでの招待公演ということなそうです。           

田郷というのは釜石市鵜住居町の鵜住居川沿いの川目地区で、川の上流の橋野地区は遠野伝来の黒幕の幕踊りがあるが、栗林から下流は極彩色の頭と前幕の鹿踊りとなる。
その伝承譚はほとんどが「元禄、宝永年間(1688~1709年)に鹿嶋の扇州から来た唯喜傳治から習い覚えた」という共通のものがある。

ということで、昭和45年刊「栗橋小誌」より鹿踊発祥の起源を引用すると

「 房州に庄兵太という百姓が いた。妻と子供三人、母親を養う六人暮らしで、たいそう貧乏であった。
年貢も納めることが出できなかったことから、上様より呼び出しを受けた。
当日になり、庄兵太は呼び出しの時刻に遅れていったため、役人は大いに怒り、殿に申し上げて手討ちにすると言い渡された。
庄兵太は.遅れた理由を次のように申し上げ、許しを願い出た。
「役所に来る途中、広い野原にさしかかると、七、八頭の鹿が集まって木を廻りながら足をつがえ、頭を振り、あるいは跳ね回り踊っていた。そのうち、大きい鹿は、木に角をすりつけながら、体をひねり うしろまえとがわるがわる角を磨く様に踊っていた。
それの榚子につい見とれて遅れてしまった。誠に申し訳ない。」
このことを聞いた役人が「それならば、その鹿のまねをここでやってみるがよいと仰せられたので、庄兵太は決意し、一札して立ち,
一本の手拭いを両手に広げて持ち、真剣に、一生懸命踊り、鹿の野生本能の表現に汗を流した。
その熱意に役人は感じ入り、彼の罪を許した。庄平太の表現が踊りになっていたのを見た役人は、「里へ帰ったなら改めて踊りにし、教え広めよ」と仰せられた。」



雄鹿です。
釜石、大槌から下閉伊にかけて共通する頭の角型ですが、田郷鹿踊のが一番威容があると思います。

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牝鹿です。鹿頭の建物は、やはり月に叢雲で角には星が入っています。

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幕踊り系鹿踊には刀振りがつくのが通例ですが、ここの刀振りは鹿以上に勇壮です。

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伝承変遷の中で神楽の影響を受けている感じの刀振りですが、近年は女性が担うことも多く勇壮な中にも華やかさがあります。

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演目は、両宿入羽、ひざ立ての返し、ねり、花おどり、小切り、引き羽、突合いです。
突き合いは、いわゆる雌獅子狂いで、有力な2頭の雄鹿が1頭の雌鹿をめぐって戦う、 野生動物の本能を表現した激しい踊りということです。

20191117140400IMG_5552.jpg

田郷鹿踊が釜石地区から外へ出ての上演は初めてなのではなかったかと思います。
これを機に他との交流をしながら更なる継承へとつなげていきたいと代表の方が語っておられました。

金ケ崎町で田郷鹿踊が見れるとは驚きでしたが、益々の活躍を期待します。

20191117141010IMG_5583.jpg

動画でどうぞ

テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2019.11.18 |

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Author:祭りの追っかけ
祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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