早池峰岳神楽「汐汲みの舞、五穀舞」@2019第47回川井郷土芸能祭
さて本日は、第47回川井郷土芸能祭からゲスト出演の早池峰岳神楽で汐汲みの舞と五穀舞です。
岳神楽については、云うまでもありませんが、日本を代表する山伏神楽で大償神楽とともに早池峰神楽として国の重要無形民俗文化財であり、世界的にもユネスコの無形文化遺産に登録されているものです。
川井地区の江繋や小国は早池峰山の登り口であるため先達としての修験山伏がいて神楽を修していた。
そういったことから、岳や大償とのつながりばかりでなく、他の早池峰山麓の各修験山伏との関係もあったと推測されます。
この日は二演目上演されました。
最初は汐汲みの舞
汐汲は神楽能のひとつとされています。
女舞ではあるものの、執着ものとも少し違い、元々は能から出たものとも猿楽の類からのものとも諸説あるようです。
能には松風という演目があり、須磨の浜辺に棲む松風と村雨という海人の姉妹が、在原行平に恋するが成就せず亡くなったが、後に旅の客僧の前に亡霊となって現れ、幻想的に汐汲みするという場面があります。
みちのくの山伏神楽では、その曲を取り入れて美しくも狂おしい若女の舞に仕上げています。
〽 松島や お島が浜の月をだに 影を汲むこそ心あり
簪に若女面を付け、肩には長刀に赤い帯を巻き、その先には手桶に擬した烏帽子を両側に提げて浜辺に汐汲みに来た様を表します。
煌々と輝く月に、恋慕の情を寄せた在原行平の面影を見たのか、手桶に汐を汲むたびに水に映る月に行平と再会したような気がしたのかもしれない。
となると、いつの間にか執念ものとしての演目なのだという感じに引き込まれてしまいます。
苧環や機織ほどのオドロオドロしさはないものの、物悲しさの中にも美しい浜辺の情景が浮かぶ秀作です。
続いて男五穀
早池峰神楽では五穀舞には二種類の舞があります。
天照皇大神自身が最初に出て舞う女五穀と
天照皇大神の指名を受けた天熊人が最初に出て舞う男五穀があります。
私は荒舞が大好きなので、この男五穀舞は大好物です。
天太玉命から、葦原の中津国へ行って保食神を訪ねて来いと命じられた天熊人。
保食神から成れる五穀の種を献上し、人の世の今までも五穀の種の尽きること無しと寿ぎ千代の御神楽となります。
動画でどうぞ
汐汲みの舞
五穀舞
