黒森神楽「節分 豆まき」@大槌町吉里吉里巡行2019
さて本日は、黒森神楽の大槌町吉里吉里巡行2019から最後の演目です。節分(豆まき)です。
当日は節分に近かったせいもあってのこの出し物といえるかもしれません。
節分は舞の種類としては仕組みとして分類され、古い謡本では「豆蒔之本地」という浄瑠璃語りであったようだ。
語り物を神楽の演目に仕組んで演じるのは南部神楽も同様で、狂言仕立てになっていたりと楽しめる内容になっている。
筋立てをざっくりと説明すると、日本を魔国にしようとした唐の乱婆と見留女という鬼神を経基が退治して豆をまくというものですが、これが少々込み入った話なので順次といていきます。
楽唱 〽 ヒーヤハー 乱婆尊者
赤面をつけた乱婆尊者と青面をつけた見留女が幕より出て名乗りをあげる
乱婆尊者とは鞍馬山の宝浄が岩屋に住む自由通力の魔神という。
見留女とはその眷属の鬼神という。
乱婆尊者は、かねて天竺を魔国にしようとしたが釈迦尊の仏法により叶わず、唐土を魔国にしようとしたが教道正しくしてこれも叶わず。次に日本に渡り帝を亡ぼし魔国にしようとするに、いかなる策がよいかと見留女に問う。
見留女答えていうには、帝の関白である稲貴の大臣秋信は大欲無道の者なので美女に化身して近寄ればこれ討ち取ること叶べしと。
それならばと美しく化身した見留女
春の盛りの梅桜岩屋を照らすばかりなり
都にと急ぎます
見留女が都大路に佇んでいると秋信が近寄り、よき美人なりとて内裏へ参内せよと勧めます。
早速帝に会わせて祝宴となり、御祝いの歌がかかります
〽 天地開けし初めより 君の御家帝の祝久かたや 天津帝が何時までも
と、そこへ武者姿の経基が出て、先の御祝歌は帝を滅ぼさんとする策謀に違いない。
得体の知れぬ女を帝に近づけるなど不届き者と責める。
「我は汝に弓引かん 汝が第六天に味方して 君に弓引く暴れ者 今一言いわば言ってみやがれな
言わずと表に現れたり」
と刀を抜いて秋信を討ち取る
そして乱婆尊者と見留女が出て豆撒きとなります
乱婆尊者 おお我こそは乱婆尊者と言いし鬼神なり 経基めがけてまっしぐらに飛びかかる
何の目を討つ
経基 鬼の目を討つ
乱婆尊者 鬼は外
経基 福は内
そして次から次に様々な鬼が現れては場内大爆笑です
さて、鬼神らを幕内に追い詰めて討ち取ります
経基 思いがけたる乱婆尊者も討ち取ったり これより国あきらか
大願成就 諸願成就なり
以上演目説明は石垣本と佐伯本を参考にさせていただきました
以上でこの日の神楽演目全てが終わった印に幕をあげてお開きとなりました。
抱腹絶倒、眼福満足
動画でどうぞ
