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2019.01.19 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ神楽

続 神楽伝承本について考えるvol.3 大原神楽の「風流諸作 御神楽詠議本」

さて本日は大原神楽の「風流諸作 御神楽詠議本」から演目についてです。
これが第一部と第二部をあわせて58演目になりますので、本日は第一部について見ていきたいと思います。

第一部の演目は次のとおりで、最初の三神楽から岩戸入りまでは、南部神楽中でも山伏神楽系統を引いたいわゆる式舞の如しです。
その後に素戔嗚尊が国中の悪魔を退治する魔王退治、そして岩戸開きとなっています。
そして、法印神楽系統とも取れる天孫邇邇藝命から彦火火出見尊と豊玉姫の出会いまでを通し演目としている。
この双方の神楽系統が重なっているのが南部神楽の特徴ですが、高橋辛師匠が一関山谷の出自ということなので、後に山谷流とされた神楽のベースは法印神楽にあったことがわかります。

後半の演目には田村三代や葛の葉もの、そして近年の新作である夕日の衣川三編が続いています。

1 三神楽
2 三番叟
3 岩戸入
4 魔王退治
5 岩戸開き
6 御室焼き
7 海幸山幸
8 お魚問答
9 安産の事
10 竜宮出現
11 田村一代
12 田村二代
13 田村三代
14 信田が森
15 逢野ケ宿
16 羽衣
17 夕日の衣川 衣の館
18 夕日の衣川 前九年の役
19 夕日の衣川 大森山
20 夕日の衣川 中尊寺縁起

20190119_160846436.jpg

大正から昭和にかけて、劇舞が隆盛になる前は劇舞よりも儀礼的な式舞や神話を元にした神舞といった演目を上演する機会が多かったことと推量されます。
南部神楽は娯楽の芸能と言われますが、明治維新後に修験等が神楽から離れた後に、その代役として神事や厄払い等に神楽を請われて演じたことが伝えられています。

ここで三番叟について読んでみると、第一部と第二部に三番叟が二通り書いてある。
第一部の方は三羽舞と添え書きがあり、三番叟の他に道化らしい舞手が3~4人出ておそらくモドキを行うような台本となっています。

第二部(下画像を参照)では別名「藤沢三番と称する」とあり、おそらく藤沢のというから瑞山流の三番叟をさしているものと思われます。特徴としては終盤で道化が出て、三番叟が道化に肩乗りして幕入りするという構成です。
尚、第二部では三番叟の前に翁舞が記されていて、山伏神楽の式舞順に行われていたことが理解できます。

20190119_161011329.jpg

ということで、本日の動画は第二部15番目の演目「山の神舞」です。舞手は佐藤健太郎さんです。
上演しているのは小坂盛雄さんが指導した大森神楽です。

明日は第二部の演目について掲載します。

DSC01569_201901191627122ca.jpg

動画でどうぞ

2019.01.19 |

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祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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