煤孫ひなこ剣舞@第57回 北上みちのく芸能まつり 詩歌の森公演
さて本日からはブログネタが枯れる1月恒例の過去未掲載分について取り上げていきます。
今回は、昨年8月4日に行われた第57回 北上みちのく芸能まつりでの詩歌の森公演について順次リポートとなります。
最初はは北上市和賀町煤孫の煤孫ひな子剣舞です。
北上市には大きく分けて3つの形態の剣舞が伝承されています。
一つは、北上川東岸の門岡・立花周辺に伝わる羽根采をつけた阿修羅踊りの剣舞。
もう一つは、岩崎を濫觴とする風流化した念仏剣舞で、明治後半以降に勃興した鬼剣舞。
そして、盛岡周辺の大念仏の要素を持った雛子剣舞です。
この雛子剣舞は、この和賀の煤孫ひな子剣舞と、藤根の道地ひな子剣舞、それと飯豊雛子剣舞があります。
囃子(オカド)は、太鼓、笛、鉦、簓で奏され、踊りは坊子(男子2~4名)と踊り子(女子8~14人)、それと跳ね胴を打つ年長の女子4~6名という構成になっている。
衣装の背中に結付けた四角い布はケサ(袈裟)と呼ばれるもので、採物は坊主がツチ、踊り子は刀、錫杖と呼ぶ花を付けた唐団扇を持つ。
演目は ①坊主、②入羽、③六十三拍子、④六十三拍子引羽、⑤十七拍子、⑥四十五拍子、⑦五十五拍子、⑧四十九拍子、⑨忘れ節、⑩引き羽、⑪讃の十一種目。昭和16年ごろまでは④のように引羽がついていた。
また、跳ね胴は②から⑨まで踊る。
踊りの順は、通り囃子、讃(回向)、振り込み、坊主、入羽、本舞、引羽で一振り終わる。
踊り済むと坊子が周りを踊って終わる。
坊子が手にするのはツボケ(ツチ)で、踊り手は禅僧慧可が断臂(片腕)で修行したことに因んで、必ず左手は使わない仕来りになっているという。
輪踊りが終わると、太鼓の打ち手が大人から少女に代わり、跳ね胴になる。
これはまさに大念仏の廻り胴と同じで、岩手の民俗芸能念仏踊編によれば、「紫波町の赤石田植踊の老師匠は、雛子剣舞の拍子は念仏剣舞(大念仏剣舞)のマワリ胴と同じだといっていた」とあります。
が、胆沢の念仏剣舞でも跳ね胴があり、やはり同じ役割をもっている。
踊りの構成は違っていても、囃子の基調となるものは通底しているといえるかもしれない。
動画でどうぞ
