坂之下番楽 空臼からみ @ 青少年東北民俗芸能の祭典2018
さて本日は、青少年東北民俗芸能の祭典2018から秋田県由利本荘市の坂之下番楽の空臼からみです。
由来等については当日パンフレットより
「由利本荘市矢島町坂之下は、霊峰・鳥海山の北東麓。前は子吉川が流れ、後ろは山で通り抜けできない袋小路のような地形の、農業と林業の地域です(世帯数51、人口170人)。
坂之下の殆どの人が地区の宝だと言うのが「坂之下番楽」です。これは400年余り前、京都から来た修験・本海行人がもたらした「本海流番楽」で、生活の折節に上演されています。その中の一つに「空臼からみ」があります。自のまわりを4人の舞手が棒を持つて進みながら、餅を掲き、勢いよく互いに打ち合つたり飛び上がつたりする激しい舞です。
矢島高等学校には、地域の歴史や文化を学ぶ「地域学」の授業があり、4年前からその一環として、2年生がこの空臼からみの舞と囃子の習得に取り組んでいます(年間、2時間を約7回)。指導は保存会のメンバーで、学校祭で披露することが恒例となつています。
由利本荘市では昨年9月に民俗芸能伝承館「まい一れ」で、「からうすからみ全国大会」が7団体の参加で行われるなど、空臼からみが元気です。」
ということです。
番楽については、本田安次は岩手の山伏神楽とは表裏一体をなすという言説をとっています。
確かに演目や、細かな表現技法は各々異なるものの、根底となっているのは修験が伝えた宗教的な意味をもつ芸能であることには違いがないように思います。
この空臼からみも、一見すると番楽独自の舞のようであるが、山伏神楽のうちでも現在の黒森系で神楽宿に舞い込む際に踊られれる「シットギ獅子」に似ている。
シットギ獅子は、まず宿の玄関先などに臼を据え、その臼で、シットギと呼ばれる米粉を練ったものを作っておく。舞手たちは、それぞれ剣や杵、すりこぎ、しゃもじなどを持ち、太鼓などの演奏に合わせて、臼の回りで勇壮に舞う。
さらに、シットギ獅子から派生した御堂入りや七つ舞では採り物を持った二人一組が採り物を打ち合ったりする所作も、この空臼からみと共通しているような感じです。
それはともかく、今回空臼からみを初めて見たわけですが、一番興味深かったのは、踊りの終盤で舞手ひとりずつが滑稽な所作をしながら前に出ていわゆる「チョボクレ風」の口上を述べたことです。
やはり空臼からみという演目は、神楽の場を祓い清めるとともに、余興的な演目であるということが理解でしました。
尚、この空臼からみという演目は、鳥刺舞とも関連があるということで、やはり終盤ではそれらしい棒を使った所作も見られます。動画で確認してください。
いづれ、五穀豊穣や子孫繁栄を願いながらも、楽しさのある番楽舞であったということだと思います。
動画でどうぞ
