小田代神楽 権現舞 @第11回祀りの賑い
さて本日は、第11回祀りの賑いから最後の演目、権現舞です。
小田代神楽さんは、神楽のカテゴリでは一応南部神楽の範疇にあるので、権現舞は無いはずですがあるんです。
しかも、山伏神楽の権現舞とも様式を異にしています。
実はここに南部神楽と権現舞・獅子舞の関係のヒントがありそうなのです。
小田代神楽での権現舞においても下舞がありましたが、それは岳大償の下舞とは異なり、御神楽舞の手を下舞としているようです。
次に、権現様を舞わせる二人の舞手が登場する訳ですが、こちらはほとんど山伏神楽の権現舞と同様です。
が、やはり特徴的なのは権現舞の前半部分は、岩手県南部の胆沢地方から宮城県北地方に広く分布する獅子舞の様式をとっていることです。つまり、獅子を神の権現としているというよりも、獅子あやしによって祓われる聖獣としての獅子として扱っていることです、なので最初に獅子あやしが刀でもって獅子を祓う所作があります。
そして、次に獅子あやしが山伏神楽の権現舞につきものの別当役に変わって酒や米等を獅子に振り掛け祓う所作になります。
小田代神楽さんが伝授を受けた北下幅神楽や瀬台野神楽にはもちろん権現舞は無いものの、同じ集落内には正月の春祈祷をする獅子舞がありました。それは天狗を先頭に刀振りと獅子舞が悪魔祓いをし、祈祷札を配るために門付けをして歩くものでした。
その一方で小田代集落の周りは南部藩境にあるため、山伏神楽から派生した権現舞だけを伝承する地区が沢山ありました。
小田代神楽さんでも集落内の寺に頼まれて権現様を回すようになり、現在では5月の江刺甚句まつりの際に秋葉神社の要請で岩谷堂地区を門付けすることになった。
このような関係から、山伏神楽由来の権現舞と羽黒修験の獅子舞とが混然となった権現舞が成立したのだと推察します。
そんな感じで、この日の祀りの賑わいは終了しました・・・が、私の楽しみはこの後です!
こちらの直会では神楽衆による余興が繰り広げられます。毎年これを楽しみにして参じているわけです。
この日は、小田代神楽さんの舞手が早池峰神楽の権現舞の下舞から始まりました。
その他に、天狗田代々神楽さんの寄せ太鼓や小田代さんのクズシなどがあり、直会の夜はふけてゆくのでした・・・。
また来年が楽しみです。
動画でどうぞ。
