降神の舞 赤谷神楽&達古袋神楽 @ 南部神楽舞納め
さて本日からは12月16日に宮城県鳴子温泉にある温泉施設農民の家にて上演された南部神楽舞納めについてリポートしていきます。
神楽衆の一年は、舞初めから始まって舞納めで締めくくるのが通例です。
南部神楽では近年そういった儀礼的な部分が省略されてきていますが、中には神楽面を並べて神送りをする団体もあるようです。
この南部神楽舞納めという上演会も、そういった儀礼的な部分を大事にしようということで、南部神楽伝承推進協議会6団体が共演する形式で毎年行われているものです。
南部神楽は明治維新後の修験廃止以降に農民が受け継いだ神楽なので、宗教的な事柄を表現するのはご法度という制約の中で神楽演舞だけを上演するしかなかった。
しかしながら、神楽を携えて各村々を廻る内に、五穀豊穣や諸厄退散の祈祷を要請されたこともあったと推量されます。
そうした時に、神楽道具の幣束で神官の祈祷を行ったのは自然な流れだと推察します。
とはいえ、この南部神楽伝承推進協議会での降神の舞は、修験山伏が神楽を行っていた頃の残照が見て取れます。
降神の舞を演ずるのは翁です。
神楽奏上から舞に入るまでは素面でいて、降神の舞になると翁面をつける。
この儀礼的な様式は、神降ろしによって神が神楽の場に来たゆえに、翁役に神が憑依して神の祝福を神楽の場に施すという場の設定である。
このことによって、神楽の観衆は神楽座の場に神様が降臨し、神楽を見ているだけで招福除難の利益が約束されたと観じることができるということなのだろうと思う。
さて、この日の翁舞は達古袋神楽の三浦さんでした。
いつもながら、舞もコワも秀逸でした。
ところで、この日予定されていた達古袋神楽さんは欠場になりました。
理由は、達古袋神楽さんの団員の女性がお亡くなりになり、その忌みでの欠場ということでした。
ご冥福をお祈りします。
動画でどうぞ。
