中野神楽 真似三番叟 @八幡の家慰問上演会
さて本日は、12月9日に中野神楽さんが栗原市の老人施設八幡の家で慰問上演をするというので、許可を得て参観取材に行った際のことをリポートします。
その前に、中野神楽さんの由来について定本より
「明治五年、佐竹幸吉が庭元となり岩手県西磐井郡厳美村、三輪流山谷神楽の師匠を招き指導を受け、中野神楽を創設した。
二代、三代とも山谷神楽の師匠の指導を受けた。現在は、佐竹精一郎が指導に当たっている。
、初代庭元佐竹幸吉、現在の庭元斉藤新一郎は四代目である。」
とありますが、現在の代表は佐竹正義さんです。
ところでこの日の上演は、施設の要請に応じて入所者の慰問ということで、いわゆる神楽興行とは形の違うものではありますが、昔の巡業の要素も残していて、貴重な取材となりました。
代表以下、神楽衆が8名(子どもたち含む)ぐらいが参加しての上演。
演し物は、その持ち芸に従って三幕を演じました。
三番叟、荒神、弁慶母と対面の場です。
最初に式舞としての三番叟を出し次に上演会場の場を荒神舞で祓い清め、最後に娯楽的要素の劇舞という流れです。
ということで、本日は最初の三番叟について。
この日は三番叟に道化のついた「真似三番叟」をやるという話を小耳に挟んだので、中野神楽さんに頼み込んで観覧させていただくという次第になりました。
中野神楽さんでも、この真似三番叟を上演するのは数年ぶりということで、しかも親子での共演ということですので、貴重な映像を撮らせていただいたという次第。
幕出し唄は
〽 センヤー 吉が野に 吉が野に 日は照るとも 日は照るとも
常にたえせぬ ドドと鳴るは滝の水 滝の水
鶴殿 亀殿 祝い心にまかせたり サンヤーエー
舞手は小学6年生 いつもの胴取さんのお嬢さんです
三番叟を舞台で舞うのは今年の秋祭り以来数度ということです
舞もコワも堂々として大変素晴らしいです
三番叟にこのような道化が付くのは、早池峯系山伏神楽でも演じられる形態で、南部神楽でも継承していましたが近年では三番叟は演じても道化がつかないものが多くなってきています。
真似三番叟はまた追っかけ三番叟とも呼ばれますが、三番叟自体が翁舞の「モドキ」になっているわけですので、真似三番叟は「モドキのモドキ」という福を呼ぶ呪法が二重構造になっているようなものです。
真似三番叟の演技内容は神楽団体によって様々ですが、大きくは道化が三番叟の真似をしながら胴取をやり取りをし客を笑わせて幕入りするもの、あるいは種々の採物を携えて滑稽な仕草をして客にチョッカイをかけるもの等があります。
中野神楽さんでは、真似三番叟が三番叟を肩車に載せて舞うという荒業を見せます。
このタイプは一関地方から栗原・登米の一部に伝わっているものです。
この時の胴取の囃し唄は
〽 マゴチョイと申す マゴチョイと申す
ということから、三番叟の演目名をマゴチョイと呼ぶようにもなったということです。
動画でどうぞ。
