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2017.09.24 | Comments(1) | Trackback(0) | カテゴリ神楽

城生野神楽 道化「弥次喜多」 @ 第57回北辰神社神楽大会

さて本日は、第57回北辰神社神楽大会から各賞審査中に特別出演で城生野神楽さんが大トリを務めました。
道化の演目で、弥次喜多道中記です。
アイの狂言とでも申しますか、昔は夜神楽をかける際に、演目の合間にお笑いで場を和ませるというものです。
山伏神楽にはありますが、法印神楽では演目の中に少し狂言風の部分があるだけです。

演目に行く前に、城生野神楽さんの由来について定本より

「嘉永年間(一八四八)富野城生野の富助が岩手県西磐井郡萩荘村市野々、自鏡山の山伏神楽を習得した。後部落の若者達に指導して城生野神楽を創設した。
以来城生野神楽は、山伏神楽の正統を保っているので宮城県北の神楽の総元締である。
初代庭元千葉幸之進、現在の庭元加藤義勝は五代目である。
昭和三六年一一月、築館町の無形文化財に指定されている。」

とあります通り、幕末に自鏡山の法印神楽を習得して以来、明治中期に阿久戸神楽に伝承したのを初めに、栗原地方の十数団体に神楽伝授を行なってきた団体であります。現在の代表は佐藤安美さんです。

胴取は佐藤正行さんです。



内容は弥次と喜多の2人の掛け合いで、珍道中でのお笑い話です。

さて、冒頭に頭の良い兄役の弥次が歌いながら出てきますが、これが「ちょぼくれ」になっています。
宮城県では、田植え踊り等に付属してちょぼくれがよく残っていますが、南部神楽でも道化に取り入れられていたという証左です。

IMG_6532.jpg

南部神楽における道化は、山伏神楽由来のものと、南部神楽の各団体が創作したものとがあり、その数は数十演目にもなるようです。しかしながら、近年は神楽大会向けの演目が主体となってきていることなどから上演機会が減ってきているようです。

ちなみに一関市の小猪岡神楽に伝わった「萬狂言」という神楽本には22演目が掲載されてあり、他の神楽団体にもそれぞれ得意とする道化があったようです。

胴取りとの応酬も山伏神楽由来です。

IMG_6535_20170924090657ed4.jpg

兄(右)の弥次が、あるところへ出かけるのに弟(左)を連れて行こうと呼び出します。
そして、道中に「もしも百両が落ちていたら」兄弟でどう分けるかの算段を始めます。

IMG_6537.jpg

頭の良い兄はなんとかして全部自分のものにしようと企みます。

「もしも、百両はったら(拾ったら)、借りてきたナタでダツっと半分に切って、五十両を兄の懐にボロンとへれる」
すると、弟喜多は「あと半分の五十両は喜多の・・・」と言いかけるのを制して兄は

「またその五十両は及川製材所さ行って電動ノコギリを借りてきてダガダガっと半分に切って、二十五両を兄の懐にボロン」
「残った二十五両は喜多の懐に・・・」

「あーまだまだ、その二十五両を、こんどはウジエスーパーの刺し身包丁を借りてきて半分に切って、十二両なにがしは兄の懐にボロン」
「残った十二両なにがしは喜多の懐に・・・」

「あーまだまだ、その十二両なにがしを、千鳥から刺し身包丁を借りてきて半分に切って、六両なにがしは兄の懐にボロン」

と、兄弟で論争が始まります。

IMG_6538_20170924090339d2b.jpg

そこへ神官が通りかかったので、兄弟は百両の持ち主は誰になるべきかご託宣を聞くことにします。

IMG_6540.jpg

ところがこの神官も怪しいまじないを始め、最後は自分が百両の持ち主だと託宣を出します。
あきれた兄弟は、ご祈祷料も払わずに立ち去ろうとしますが、神官は「百両をよこせ」と言います。
そこで兄弥次は「これは、もしも百両をはったらっつう話です」
というオチがついてこの狂言が終わったのは以前見た時の弥次喜多でしたが、この日はさらに続きがありました。

IMG_6544.jpg

今度は神官が仕返しとばかりにもしも話を持ちかけます。

神官は自分には若い娘がいるが、相撲を取って買ったほうが婿ということにするという。
兄弟が一生懸命に相撲を取り、兄が勝って「娘を私に」というと神官は
「娘が生まれたらばのことだ」

・・・お後がよろしいようで。

IMG_6546.jpg

動画でどうぞ。

テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2017.09.24 |

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Author:祭りの追っかけ
祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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