薬莱神社三輪流神楽 「叢雲」
さて本日は、薬莱神社三輪流神楽の篝火神楽から叢雲(むらくも)です。八岐の大蛇退治です。
神楽秘伝鈔には「叢雲 一号す 霊劔出現」とあります。
三種の神器の一つである天叢雲剣の由来を説く重要な演目ですので、古今東西の神楽に伝わる演目です。
ですので、演目の構成も前段と後段に分かれて詳しく演じられます。
最初に足名椎手名椎と一人娘の櫛稲田姫が出ます。
次に一首の歌を詠じた後に素戔嗚尊が出ます。
〽 盛りなる 花をば風に誘われて 蕾ひとつ守る悲しき
素戔嗚尊の面ですが、凄まじい程に恐ろしい蛇面
足名椎手名椎の願いにより八岐の大蛇退治をすると宣言した素戔嗚尊は
〽 左様に候はば 十握の劔にて難叶候とも あら御待ち候へ
と、一度舞台より退出した後に装束を改めて出てきます。
現在の南部神楽等では、襷掛け等をして場面変換としていますが、三輪流神楽では面を変えた上に結袈裟を懸けた装束で出ます。
大蛇退治ですが、これは吊るし大蛇でもなく蛇面の責め舞でもありません。
中国九州地方と同じように注連縄を大蛇に見立ててこれを切り落とすという表現です。
大蛇を切り落とすと、櫛稲田姫の祝の舞となります。
宮城県の神楽ですが、見ている内に出雲神楽を見ている錯覚に陥るような芸態です。
動画でどうぞ。
