和賀大乗神楽 榊舞@第17回慶昌寺公演
さて本日は、第17回慶昌寺公演から和賀大乗神楽さんで榊舞です。
榊舞は、法印の資格を持つもののみ舞うことを許される格別のものです。
この法印の資格とは、一週間の修行を行い、作法に則って得度式を経た者のみに与えられる。
即ち、得度を経て舞を習得した舞手から次の法印にのみ伝授される直伝の秘曲といえる。
平成14年刊行の北上タウン情報誌ダダスコに寄せた現代表の鈴木俊逸氏の寄稿によれば、
「和賀大乗神楽で最高の舞「榊舞」を伝授されたのが高校生の時である。この舞だけは伝授する舞手を選ぶ。
門外不出の舞である。演目の中でも最も長く、肉体的にも精神的にも高いレベルが要求される。
何より自分自身が「神」になったような錯覚を覚える舞である。
悪魔を祓い、万民を救うため、幸福を招くために舞うのだと思わされるのである。」
このことを深く心に止めながら榊舞を鑑賞すると、より一層信仰に立脚した神事芸能であることがわかります。
この演目での太鼓(オカド)は、舞手である鈴木俊逸さんの御子息鈴木智大さんが務めました。親子二代での榊舞です。
この日は、法印のみに舞うことを許されている舞を二演目も上演したので、非常に見応えのある内容となりました。
陸前浜の法印神楽でも榊舞は至高の舞とされ、初矢として上演されます。
大乗神楽では、様々な修験の手次足踏が加えられて信仰深い神楽になっていますが、元々は法印神楽では伊弉冉尊の祈祷舞とされています。
画層は爪米散供の場面です
前半の白面を付けてのネリに対して、後半は面を外しての御神楽となります。
榊の垂迹神は軍荼利夜叉明王で、その本地仏は金剛界宝生如来となっています。
榊舞は軍荼利明王にして大乗神楽の最上位にして衆生救済とともに涅槃常樂の彼岸に達することで民衆を救うことを祈願したものです。
前出の鈴木俊逸さんも、この祈祷を背負っているからこそ、民衆の願を常時すべく枚にも力が入るということでした。
幣束で梵字を書いて祈祷をします。
最後は秘法九字を切って舞い納めます。
動画でどうぞ。
