和賀大乗神楽 帝童@第17回慶昌寺公演
さて、本日は和賀大乗神楽さんの帝童です。
大乗神楽には女舞として女性が主役となる演目として鐘巻、帝童、蕨折がありますが、帝童のみが一人舞で他のニ演目は複数役が出る執念ものとしての物語となっています。
帝童は竜女で本地仏は師士音仏であるとし、後生での孝を願うものとされています。
太鼓の拍子も他の演目と異なる特徴的なものです。
幕山し歌は
〽 ようよう急ぎ行く程に 熊野参りの帝童にて いざさらいでて 若子舞う
青の地隠布で頭を包み、鉢巻、若女面、日輪のカンザシを付けて舞いでます。
ネリの部分では、女性の日常の仕草を舞踊化したともいえる独特の所作があり、掌を顔面にかざして舞う場面では
オカド(囃し方)が神歌をかけます
〽 「エーセンヤー 鏡見ろ見ろ鏡を見ればしなは尚勝る 面白ごほうぜ エヤラア
この鏡を見ろというくだりは法印神楽にもあり、親の顔が恋しくば鏡をみればそこに親に似た顔があるという喩えです。
これは、仏典「百喩経」の中にもあるもので、日本では説話として伝わり、亡き親の顔を拝んで供養したいと願った親孝行の村人に領主が鏡を与え、「子は親に 似たるものをぞ 亡き人の 恋しきときは 鏡をぞ見よ」と書き贈ったというものです。
そこから孝女の物語としての帝童の演目にこの所作が取り入れたのではないかと思います。
また、錫杖と畳扇を持ち、顔の両側でクルクルと回す所作がありますが、これを片耳かき、両耳かきと呼ぶ。
最後は散らし扇で舞い納めます。
動画でどうぞ。
