上平沢子ども百万遍 春彼岸巡行
さて本日は、昨日ブログで紹介しました上平沢権現舞と同じ彼岸の中日に、同じ場所で行われた子供たちによる百万遍についてです。
百万遍とは、百万遍念仏で、死者や先祖の供養等のために、導師の音頭に合わせて大勢で念仏を唱えながら大数珠を回す振興行事のこと。緒元は京都の知恩院で八世善阿が疫病の平癒鎮護祈願のため百万回の念仏を唱えたことに始まるということです。
これが全国に広く普及し、特にも浄土宗等の寺院を中心に伝播していった。
岩手県南部では、この金ケ崎の他には江刺田原の下醍醐や北上市岩崎、奥州市衣川等で子どもたちによる百万遍が現在も行われている。
時期的には二月八日と十一月八日(コト八日)や、彼岸などに行われている。
「岩手民間信仰事典」によれば、この地方は隠し念仏が浸透してきたために死者供養時には百万遍ではなく「念仏申し」をするようになり、故に百万遍は子供たちが代わりに行うようになったということです。
思うに、最初は念仏供養をして歩く行事だったが、子供たちが門付けにくるものだから、家々では菓子や小銭をお布施として出すものだから、次第に稼取りのようになってきたものと推量される。
この日も子供たちが集まった公民館では慰労のお菓子が山ほど準備されていました。
閑話休題
さて、子ども百万遍の支度は、権現舞の皆さんと一緒に上平沢公民館で整え、いよいよ出発です。
道中は鉦付き係が鉦を叩きながら進みます。
昔は子供たちだけで廻ったということでしたが、今は安全面にも配慮して大人がついて行きます。
というより、現在は子供会(児童館)行事となっているようです。
この日は一日掛けて百軒ほど廻るということでした。
民家の庭に入り込むと、大きな数珠を子供たちが「ナンマイダー」と唱えながら三回ほど回します。
最後は、お札の係が家人に札を差し出し、代わりに御礼を頂戴します。
御札はこれです。
時宗の念仏賦算のような感じです。
昔は、意味もよくわからない子供たちが、云われるままに念仏と唱えてあるくと大人たちに感謝され、誉めれられて南無阿弥陀仏と唱えることの大事さを理解するとともに、社会の一員として人の役に立つ喜びをこういった行事からも学び取ってきたように思う。
現代社会では、こういった民俗行事以前に地域コミュニティや隣同士すら付き合いの薄い現状となっている。
ましてや子供たちが社会の一員として何かをするということも皆無になってきている。
そんな中で、今回の上平沢地区の権現舞も百万遍も大変有意義な取り組みをしていることと賞賛したいと思います。
動画でどうぞ。
