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2016.12.30 | Comments(0) | Trackback(0) | カテゴリ神楽

神楽と村芝居と

さて本日は、北下幅神楽文化庁事業成果発表会から子どもたちによる御神楽です。

その前に、神楽と村芝居についてふれておきます。

南部神楽団体の伝承解説等を読んでいると、よく「神楽の合間に芝居もやった」ということや、「青年たちが神楽より芝居の方に興じるようになった」などという記述があります。

この北下幅神楽でも、昭和30年代まで「末広劇団」という名の村芝居をしていたようです。
「胆江地方の神楽」(昭和60年刊行)の北下幅神楽の項に次のような文章が掲載されています。

「最初は歌舞伎より革新劇に移り、裁判劇や後家芝居、軍人劇と移り、大きな幟を立てて水沢の劇場「当立座」や各地を巡業し、町廻りは人力車で、地方の祭典に招かれれば、神楽は式舞五番だけで後は芝居、時代の要求に応じた劇を演じ、昭和3年には活動連鎖劇や社会劇、喜劇、時代劇からやくざ舞踊、新舞踊、女を加えてレビュー化と進みますが、時代の波、テレビの普及とともに押し流され、神楽だけが残っています。」

というものです。

明治以前の農村の娯楽に漂白の旅芸人が語って歩いた奥浄瑠璃があります。
それを維新後に神楽を会得した農民たちが「生き」浄瑠璃人形よろしく舞台の上で浄瑠璃の世界を演じたものだから大変な喝采をもって受け入れられ、それが爆発的な南部神楽組の発生に繋がった。
そして、テレビの無かった戦前においては都会の劇場でしかお目にかかることのできない芝居を地方の仮設舞台で目の当たりにできたのだから、これもまた絶大な支持を受けたものと推量できる。

下の写真は、末広劇団の連鎖活動劇のフィルムが発見されて北下幅公民館に保管されているという記事を掲載した地域広報紙です。

しかしながら、芝居に熱中する青年神楽師たちに対して(昭和10年頃)当時の座元千田竹松は「お前たちは芝居に熱中しているが下幅は神楽が元だから神楽を絶やしてはならない」と注意したという。

末広劇団の連鎖劇のビデオがあるらしいので、今度借りてきて観ようと思います。

IMG_9269.jpg

閑話休題
子どもたちによる御神楽です。

この日は、小学6年生1人と3年生4人での舞でした。

北下幅では、子どもたちへの神楽指導にも力を入れており、中学生になった子たちは正月の稲荷田権現舞にも参加するなど神楽を継続する大きな力になっています。

IMG_9338.jpg

子たちによる御神楽は、1月3日(火)13:30から奥州市水沢区のまちなか交流館(メイプル西館1F)でも上演されます。

さらに、1月7日にはZホールにて「こども芸術発表会」での公演予定もあります。
お近くの方、遠方でもご都合のつく方、是非お立ち寄りの上、ご観覧下さいますようお願い申し上げます。

IMG_9344.jpg

動画でどうぞ。

テーマ:伝統芸能 - ジャンル:学問・文化・芸術

2016.12.30 |

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Author:祭りの追っかけ
祭・・・それは祈り、畏れ、そして縋り付くばかりの信仰、神人共生の歓びの象徴。さて、明日のエネルギーの糧を求めに彷徨おう。

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