雄勝法印神楽 所望分 @全国神楽大会ハヤチネ2016
さて本日は、全国神楽大会ハヤチネ2016から宮城県石巻市雄勝町に伝承される、国指定無形民俗文化財の雄勝法印神楽です。
いつもは石巻市周辺の祭りなどで雄勝法印神楽を見ているせいか、最初に太鼓と笛の音が聞こえてきただけで恰もそこが石巻の神楽座に自分がいるような感覚になる。法印神楽の奏楽にはそんな力もあるのだなと感嘆した次第。
閑話休題
雄勝法印神楽は羽黒修験者により600年移譲前から伝承されてきたいわゆる「陸前浜の法印神楽」です。
そして雄勝法印神楽は、2011年の震災津波により甚大な被害を受け、前会長さんが今も不明のままです。
奉納神社である新山神社も被害を受け、神楽面に衣装や道具も流失しました。
その後の全国からの支援と、雄勝の人々の法印神楽にかける熱意で復活し様々な場所で公演を行ない、全国世界にまでその活動範囲を広げています。
雄勝を始め、陸前浜の法印神楽の特徴の一つに「胴(太鼓)」が二つということがあります。
神楽の太鼓は通常一台で、二台ある場合も大小の分けがあって拍子も異なっていますが、法印神楽ではユニゾンで打ちます。
このことは、二台で打つことによって音の厚みが増すだけではなく、寸分たりとも違わぬ打ち方を伝承するという意図があるように思われます。
演目の所望分は、一年の四季を90日ずつ春夏秋冬の神々に分け与えたが、中央の八十万魂尊である土の神に分け与えられなかったため、土の民(=人間)が、土中から生れ出づる恵みを受けずに困窮していたということです。
そのため八十万魂尊が、我にも四季を分領させよと願い出ますが、四季の神々は悉く断り、それがために神戦になります。
装束を改めて刀を取って戦うさまは、正に所望分のクライマックス場面です。
そこへ天之御中主神が現れて、四季の内から18日ずつを土用と定めて、諸事恩恵に預かるようにと宥め平定します。
そして、世々の困りごともかように解決することを祈って、千代の御神楽となります。
動画でどうぞ。
