江繋早池峰神楽 勢劔の舞@第44回川井郷土芸能祭
さて、本日からは11月1日に開催されました川井郷土芸能祭のリポートとなります。
以前から是非見たいと思っていた芸能の数々を堪能できた一日でした。
会場は川井小学校の体育館で9:00開始でしたので、自宅を7時に出発して遠野の立丸峠を越えて辿り着きました。
川井村というのは現在は宮古市と合併になりましたが、以前は下閉伊郡川井村だったところで、盛岡市から宮古市へ通じる国道106号線沿いに広がる地域です。
そこには、沢山の民俗芸能がありますが、大きく分けて、昭和30年に合併する前の旧川井村、旧門馬村、旧小国村でおおよその特徴があるようです。
旧門馬村は上田通りとあるように盛岡周辺の影響があり、旧小国村は大槌通りと言うとおり大槌方面からの伝承経過が見て取れ。旧川井村はそれらの影響に加えて遠方から移入された独特の芸能があったりします。
そして神楽については、川井村が霊峰早池峰山の北東麓に広がって、その登山口毎に早池峰神社があったことに由来する神楽が五つあった。
現存する江繋早池峰神楽と末角神楽。今は廃絶となった川内早池峰神楽、門馬早池峰神楽、大仁田早池峰神楽ですが、この内、末角神楽だけが社風神楽で他は全て山伏神楽となっている。
さて、江繋早池峰神楽ですが、これは旧小国村の国道340号線から早池峰山頂に向かう県道25号線(タイマグラ線)にある集落に伝わる神楽です。
古い伝書等は火災により焼失して神楽の発祥等は不明ということですが、古い早池峰系の神楽とは思われますが、遠野の山伏神楽に近い感じがしますので、あるいは遠野経由のものが混在しているかもれません。
ともあれ、江繋早池峰神楽保存会の現代表は番賀信一さんで、太鼓は田頭勇人さんです。
現在も演じることのできる演目は、鳥子舞、さんば、寅走り、綱切、勢劔、八幡遊、天女、権現舞、すくみ、等ということです。
演目は勢劔(せつるぎ)の舞で、三人の舞手が幕の後ろで雲張りをするところから始まります。
幕出し唄は
〽 おうおう つくばねの峯より落つるみなの川 みなの川
ですが、百人一首に陽成院の読み歌として
筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる 男女川(みなのがは) 恋ぞつもりて 淵となりぬる
があります。雅やかですね。早池峰の峯より落つるのは薬師川ですが、淵の由来はあるのでしょうか。
神楽幕には大正二年閉伊郡小国村小向菊次郎商店とあります。小国街道が賑やかだったころが偲ばれます。
舞手は最初、鳥兜をつけて襦袢に脱ぎ垂、袴に黄色と水色のシゴキという装束で舞いい出ます。
勢劔の舞は、三人の神々が四方の悪魔を祓い、五穀豊穣、家内安全を願う踊りで、刀を潜ったり廻ったりと山伏の験力を発揮する演目です。
舞の随所で手印を結んでいるところが見逃せないです。
いつかは、江繋タイマグラの早池峰神社の例祭に行って神楽を見たいと思っています。
動画でどうぞ。
