城生野神楽 「お山掛け」@北辰神社神楽大会
さて、今年度の北辰神社神楽大会の競技の部は昨日で終わりましたが、その後で昨年度優勝した城生野神楽さんによります特別演目が二つ出されました。予定では五穀舞のみでしたが、当日川北神楽さんが欠場ということもあって(と思いますが)もう一つ追加になりました。
それがこの「お山掛け」です。以前から是非見たいと思っていた演目です。
このお山掛けは演目というよりも、所謂神前での祈祷舞のようです。
そして、この演目は城生野神楽系の団体のみが伝承しているというものです。
上演形態としては、神社例祭に招かれた際に神前で行う上げ神楽で、舞役が祈祷文を謳い上げて諸願成就を祈祷するものです。
舞役は、この日は月読尊でしたが、神社の祭神等によっては天照大御神であったり、素戔嗚尊であったりするそうです。
この日の祈祷内容です。
〽 妙見神社のご祭典、神楽大会にあたり、自ら謹んで祈願をいたすなり
第一番に願わくは、悪魔悪病退散、商売繁盛五穀豊穣と願うなり
次に願わくは、家内安全交通安全、福徳円満と願うなり
数々の祈願成就を願うなり
名残惜しくは候らえども、まずはこれにて下山をつかまつる
最後に「下山をつかまつる」とありますとおり、このお山掛けが終わって山を降り、初めて他の神楽演目ができるということと解します。
実際、神社での神楽上演では、多くの神社本殿は小高い山の上にあるため神楽衆が登って行き、そこで神事の中でお山掛けを行うことになる。そして、その後に山から降りて麓の神楽殿あるいは掛け舞台で仕組み神楽が行われるという構成になっている。
これは、城生野神楽が一関市の市野々から直接神楽を習得したことと深い関係があり、山伏神楽の影響を色濃く残していると言えそうです。
ともあれ、次の機会には実際に神社祭礼でのお山掛けを見たいと思っております。
さて、舞台では次の演目「五穀舞」が始まるまでの幕間に胴取りの佐藤涼さんが軽やかに撥車を見せてくれました。
動画でどうぞ。
