小迫の延年7 田楽舞
さて、本日は小迫の延年から田楽舞についてです。
「田楽舞は、「馬上渡し」の後、演目の一番最後に勝大寺の檀家の村人たちが坊中の祭り衆に対するお返しに舞う踊りでしたが、的取りが激しくなって祭りが乱れ、観衆も四散して帰ってしまう人が多かったので、昭和50年から順序を変えて「田楽舞」を先に踊るようになった。
御礼と豊作祈願をこめて踊る「田楽舞」は、踊り手の白丁姿の村衆8人が胡桃の皮で編んだ花笠を被り、長床から出て踊りながら芝舞台へと上がって行きます。
8人の踊り手は、右手に御幣束を添えて花笠を持ち、左手で胡桃の白木で作った短い柄を持って笠を支え、御請楽に合わせて両足を揃えて左右に踏み出すように踊ります。
色紙の模様を笠に張り、真ん中の小籠にいろんな吹花を挿して飾り、五色の四垂と長い飾り花を取り付けた綺麗な花笠8つは、踊り手が足を踏み出す度にくるりと回ります。
踊りは単純で、同じ動作の繰り返しなのですが、素朴な中にも華やかさのある踊りで、春が来た喜びと活気を村にふりまいていくような感じがします。
順回りに三回芝舞台を巡ると踊り手は勢い良く花笠を投げます。
観衆は三度巡るのを待ちかねたように、どっと花笠に群がって、笠や吹き花を争って奪い合いますが、たちまち決着が付きます。
遠い昔から作り花は、お呪いの品として珍重されましたが、ここでも花笠や吹き花を手にした者は、豊作や火除のお守りの護符として軒先などに大事に飾ります。」
ということです。
尚、「宮城県の神楽と舞踊」P307によれば、「もとは、八人がこの花笠を被り、幣帛を持ち、紙張りの太鼓を打ち、ささらを鳴らし、笛を吹いて田楽踊りを踊ったという」
とあります。山形県の吹浦田楽の花笠舞や高寺八講の花笠舞などが今でもその姿を伝えていますが、同じ流れなのだろう。
動画でどうぞ。
